2003 Fiscal Year Annual Research Report
アニリン単位からなる新規なカリックスアレーンの創製と超分子不斉環境の構築
Project/Area Number |
02J10687
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
片桐 洋史 東北大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | カリックスアレーン / チアカリックスアレーン / アミノチアカリックスアレーン / 芳香族求核置換反応 / 結晶構造 / 水素結合 / 機能性材料 / 分子認識 |
Research Abstract |
本研究の目的は,キレーション制御型芳香族求核置換(S_NAr)反応による新規なアミノチアカリックスアレーン(ATCA)類縁体の合成,およびこれら類縁体の金属ならびに有機分子との錯形成を用いた超分子的な不斉環境に基づく人工的な酵素機能の発現である.本年度は下記を検討した. 1.S_NAr反応を用いた位置選択的なアミノ基の導入によるATCA類縁体の合成 チアカリックスアレーン(TCA)の架橋硫黄酸化体rctt-SOCAのテトラ-O-メチルエーテル体(rctt-MeO-SOCA)の1つのS=O基を酸化することにより合成したrctt-MeO-(SO)_3SO_2CAにLiNHCH_2Phを作用させることにより,位置選択的に3個のMeOを置換したトリベンジルアミノ体の合成に成功した(5%Y.). 2.不斉ATCA類縁体の合成 rctt-MeO-SOCAおよびS=O基の配向の異なるrctt-MeO-SOCAにLiNHR(R=Bn,Bu)を作用させることにより,分子不斉を有するモノアルキルアミノ体,anti-1,2-ジアルキルアミノ体が位置選択的に合成できることを見出した(rctt 22%,20%Y.),(rctt 31%,18%Y.).また,モノベンジルアミノ体の脱ベンジル化によって,骨格が反転しても分子不斉を保持するモノアミノ体[MASOCA(rctt)]を合成した.これらの分子不斉ATCA類縁体はキラルHPLCにより光学分割することが可能であった. 3.1,2-DATCAの不斉結晶化 1,2-ジアミノ体(1,2-DATCA)について,ヘキサンを溶媒に用いて単結晶を調製し,X線結晶構造解析を行った.その結果,不斉結晶化によりキラルな空間群(P2_1)を有することを見出した.カリックスアレーン骨格はcone型の配座であり,アミノ基と水酸基間の分子間水素結合により1次元鎖状構造を形成していることが明らかになった.
|