2003 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロ波照射と圧力操作を用いた有機微結晶の新規作製法の開発
Project/Area Number |
02J10700
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
馬場 耕一 東北大学, 多元物質科学研究所, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 有機微結晶 / 再沈法 / マイクロ波照射 / 結晶サイズの単分散化 / 有機微結晶の作製時間の短縮 |
Research Abstract |
有機微結晶の作製手段に関する研究。現行する有機微結晶の作製法の一つに、「再沈法」が挙げられる。この再沈法は、溶解度差を利用して有機微結晶を貧溶媒中に析出・分散させる手法である。 再沈法は簡便で効果的な有機ナノ結晶の作製手段であり、これまでに多くのπ共役系化合物の微結晶化に成功している。しかしながら、有機色素系化合物のペリレンやテトラフェニルブタジエンは再沈殿後、比較的長時間、過飽和状態を経由するため、徐々に微結晶化が起こり、その間の粒子同士の凝集等によりサイズ分布の広がりおよび結晶化に長時間を要する等の問題点を有していた。有機微結晶に関する研究課題の一つにサイズに依存した光学特性評価がある、しかし、先に述べたように単分散サイズを有しない微結晶に対してはサイズと光学特性との相関性が正確に評価できない。そこでサイズ単分散化及び結晶作製時間の短縮を目的とした新たな有機微結晶作製法の検討が必要であった。研究代表者は新たな試みとして、再沈法にマイクロ波照射(2.45GHz)の操作を導入した有機微結晶作製法の確立を行った。これは、再沈法が水を主体とした作製法であり、且つマイクロ波が水を均一且つ高効率で加熱可能である性質に着目し、粒子の凝集に先んじて、短時間で結晶化を完結させてしまおうという発想が根底にある。結果としては、ペリレン、テトラフェニルブタジエン及びジアセチレン化合物であるDCHD等の化合物でサイズ単分散な微結晶を短時間で作製することに成功した。 今回新たに興味深い一つの現象が明らかになった。それはファイバー状のDCHDモノマー結晶は紫外線による重合の前は柔軟な糸状構造を呈しているが、続いて紫外線による固相重合過程で、剛直な直鎖状ポリマーに形態変化していく様子を走査型電子顕微鏡により視覚的に確認した。 これはナノ結晶では結晶格子が比較的柔らかく、重合がひずみを解消しながら進行していく事を示唆しているナノ構造特有の現象であり、バルク結晶での確認は困難であろう。
|
Research Products
(1 results)
-
[Publications] Koichi baba, Hitoshi Kasai, Shunji Okada, Hidetoshi Oikawa, Hachiro Nakanishi: "Fabrication of Organic nanocrystals Using Microwave-Irradiation and Their Optical properties."Optical.Materials. 21. 591 (2003)