2003 Fiscal Year Annual Research Report
白血球崩壊毒素ロイコシジン変換ファージの感染機構および毒素遺伝子発現調節機構
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02J10702
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
成田 佐知子 東北大学, 大学院・農学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | Staphylococcus aureus / Panton-Valentine Leukocidin / PVL converting phage |
Research Abstract |
昨年度までにPVL変換ファージであるΦSLTのminor tail proteinと推測される、ORF636が、宿主である菌体への結合に関与することを見い出した。本年度は、ORF636と結合する菌体表層の因子を明らかにすると共に、S.aureusファージにおけるORF636遺伝子の分布状況についても検討を行なった。 ORF636にはリポテイコ酸の認識機構と考えられているGW moduleが存在する。また、ORF636はB.subtilisにおけるglycerol phosphate型のテイコ酸生合成系への関与が推測されているtagCと50%の相同性を有することなどを踏まえ、ORF636とglycerol phosphate型であるS.aureusのリポテイコ酸との結合能を検討した。まず、ファージの感染系にS.aureusのリポテイコ酸を加えたところ、加えた量に応じて生じるプラーク数の減少が観察されたことから、ファージの吸着がリポテイコ酸の添加で抑えられることを確認した。次にリガンドとしてORF636、アナライトとしてリポテイコ酸を用いたBIACORE解析を行なったところ、ORF636とS.aureusのリポテイコ酸との間に相互作用が認められた。よって、ORF636はS.aureusのリポテイコ酸を認識して相互作用を示すことが明らかとなり、S.aureusファージの吸着機構の一端を解明した。 一方ORF636遺伝子について、現在データベースに登録されているS.aureusのファージゲノムにおける存在の有無を調べたところ、S.aureusのファージはΦSLTのORF636と全く同じORFを保有しているファージ、ORF636と44%の相同性を持つORF636 likeなORFを持つファージ、ORF636 likeなORFを持たないファージの3群に大別されることが明らかになった。
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