2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J10729
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
仙道 雅彦 東北大学, 電気通信研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 磁気マイクロマシン / 温熱治療 / らせん構造 / 回転磁界 / 交流磁界 / 肝臓 / 先端形状 |
Research Abstract |
本研究は注射器により生体内に導入した後に腫瘍などの生体組織中を移動して温熱治療を施すマイクロマシンの実現を目指して、ゲル状の物質中を移動可能なマイクロマシンの開発とそのマシンへの発熱機構の組み込みを目的としたものである。平成14年度は、カンテンファントム中ならびにウシの筋肉組織中を移動可能な磁気マイクロマシンを実現した。平成15年度は、このマシンに発熱機構を組み込み、ゲル中での動作を確認した。また、温熱治療の対象となる臓器のひとつとして肝臓があり、本年度は、肝臓内で動作するマシンの開発を目指した。以下に本年度に得られた成果を概説する。 1.すでに得られた、ウシの筋肉中を移動可能な磁気マイクロマシンに、軟質磁性材料からなる発熱素子を組み込み、カンテンファントム中での動作を確認した。マシン推進方向に垂直な面内に1-10Hz、12kA/mの回転磁界とマシン推進方向に100kHz、6.4kA/mの交流磁界を同時に印加することで、周囲を50℃以上に加熱しながら推進可能であることを実験的に示した。この温度はがん細胞を死滅させるに十分な温度である。 2.動物(ブタならびにウシ)の肝臓内にて移動可能なマシンを得るため、マシン先端形状ならびにらせん構造の見直しを図った。その結果、肝臓の微細血管を切り裂くための先端部を持つマシンが肝臓中を推進可能なことを見出した。これは、マシンの移動部位によりマシンの最適形状が異なることを意味している。ここで得られたマシンは、ブタの肝臓内を40mm程度推進することが可能であり、肝臓内を移動するマイクロマシンを世界で初めて得ることができた。今後、ここで得られたマシンに発熱素子を組み込み、動物の肝臓内における移動と発熱の動作を確認することが必要である。 以上の成果は、これまでに無い低侵襲な温熱治療法の開発の基礎となるものであり、きわめて重要なものであるといえる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 荒井賢一: "医用マイクロロボットとそのコントロールシステム"月刊EMC. 8月号,No.184. 106-114 (2003)
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[Publications] 相馬宗尚: "肝臓中を移動する磁気マイクロマシンの試作"日本応用磁気学会誌. Vol.28, No.3. 441-444 (2004)