2003 Fiscal Year Annual Research Report
高CO_2条件下の葉の老化過程における光合成能力決定メカニズム
Project/Area Number |
02J10750
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小野田 雄介 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | CO_2濃度増加 / 光合成 / 老化 / 季節 / CO_2 spring / 自然生態系 / 生理生態学 / 細胞壁 |
Research Abstract |
<栽培実験> 昨年に引き続き、葉の老化過程における高いCO_2濃度環境の影響を調べるために、CO_2濃度を制御できるオープントップチャンバー(OTC)を使い、ブナとイタドリを生育させ、前年の結果の追試を行った。季節変化に伴う光合成タンパク質分配の変化を明らかにし、それが間接的に光合成のCO_2応答を変化させたことを発見した。この研究は日本植物学会で発表し、現在投稿論文として準備中である。 またこの研究を通して、細胞壁への窒素分配と光合成系への窒素分配の間にトレードオフがあることを発見し、国際誌に近日発表される。 イネの群落光合成の高CO_2応答に関する研究を国際誌に発表した。 <野外調査> 短期的な高CO_2栽培実験が自然生態系で成り立つかどうかを検証するために、天然のCO_2噴出地の付近のCO_2濃度を長期に渡って観測し、現地の植生、及び植物の生理生態学的特性を調べた。昨年度は八甲田山麓の田代平1カ所のみの野外調査であったが、今年度は八甲田山麓にさらに2カ所、また山形県月山山麓に1カ所の計3カ所の調査地を追加した。どの調査地においても、高いCO_2環境に生育する植物は光合成産物であるデンプン濃度が高く、生育CO_2濃度での光合成速度が高い傾向があった。 その一方で、一定CO_2濃度での光合成速度は生育CO_2濃度が高い植物ほど低かった。これらの結果はこれまでの制御環境実験とよく一致する。この研究は現在論文として投稿準備中である。 <移植栽培実験> 植物が高CO_2環境に適応しているかどうかを検証するために、八甲田山麓の田代平2カ所と月山山麓の1カ所の計3カ所のCO_2噴出地から優占植物を採取して、東北大のOTCで栽培した。現段階では光合成特性の分析が終了し、今後はサンプルの生化学分析に移る予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Yusuke Onoda: "Nitrogen allocation to cell walls decreases photosynthetic nitrogen use efficiency."Functional Ecology. 18(印刷中). (2004)
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[Publications] Niels P.R.Anten: "Elevated CO_2 and nitrogen availability have interactive effects on canopy carbon gain in rice"New Phytologist. 161(2). 459-472 (2004)