2003 Fiscal Year Annual Research Report
大強度の原子炉反ニュートリノを用いた長基線ニュートリノ振動現象の研究
Project/Area Number |
02J10836
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中嶋 享 東北大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ニュートリノ / ニュートリノ振動現象 / 時間応答特性 / 較正 / 原子炉 / 運転出力 |
Research Abstract |
所属する研究機関では、1000トンの液体シンチレータを用いた反ニュートリノ検出器(KamLAND)を用いて、原子炉反ニュートリノの観測によるニュートリノ振動現象の解明を続けてきた。 これに関連し、検出器の主要要素である1325本の17インチ光電子増倍管と554本の20インチ光電子増倍管の時間応答特性に対する較正を継続した。これは、窒素レーザによる波長500nmのレーザパルス光を検出器中心部から照射し、各光電子増倍管の出力波形の立ち上がり時刻と出力電荷の関係をns単位で解析するものである。昨年度の測定により、エレクトロニクスの改良などによる測定条件の変化がなければ時間応答特性は安定していることがわかっている。したがって今年度は、新しい光電子増倍管の使用開始やそれらに対する印加電圧の調整など、検出器の改良時期に合わせて測定を実施し、それぞれの測定条件下で最適な時間分解能を得ることができた。 また、本年度は各原子炉における日々ごとの運転出力の変化を追跡して予想される事象数に反映させ、原子炉反ニュートリノ以外のバックグラウンドによる事象数の評価を行なった。これは、検出器の位置する岐阜県飛騨市神岡町における原子炉反ニュートリノフラックスが今年度7月頃に通常期の50%程度まで減少したことを利用し、検出事象数と期待事象数の相関関係を解析したものである。その結果、フラックスが低下していた期間は2ヶ月程度と短期間であったため統計的なふらつきが大きかったにもかかわらず、1σの範囲内で未知のバックグラウンドは0であることが確認できた。フラックスは現在75%程度にまで上昇しており、今後のデータも加えることによってさらに解析精度が上昇すると見込まれる。
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Research Products
(1 results)