2004 Fiscal Year Annual Research Report
大強度の原子炉反ニュートリノを用いた長基線ニュートリノ振動現象の研究
Project/Area Number |
02J10836
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中嶋 享 東北大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ニュートリノ / ニュートリノ振動現象 / 較正 / 時間応答特性 / 原子炉 / 熱出力 |
Research Abstract |
本研究では、1000トンの液体シンチレータを用いた反ニュートリノ検出器(KamLAND)における原子炉反ニュートリノの観測において、検出器の較正を繰り返し、時間分解能を向上させて検出誤差の削減を行った。また、期待される事象数の見積もりに混入する誤差を減らすために、各原子炉における運転熱出力と燃料組成比の追跡を行った。 時間分解能に対する較正は、窒素レーザによる波長500nmのレーザパルス光を検出器中心部から照射し、1325本の17インチ光電子増倍管と554本の20インチ光電子増倍管それぞれの出力波形の立ち上がり時刻と出力電荷の相関をnsオーダーで補正するものである。検出器に対する改良作業などに合わせてこの測定を行い、各測定環境下で最適な時間分解能を得た。 原子炉での反ニュートリノの発生量の見積もりは、運転熱出力と核燃料の初期組成をパラメータとして典型的な原子炉に対する詳細な計算結果を補正することで求めた。KamLANDでは258個の反ニュートリノを3.4MeV以上のエネルギー領域に系統誤差5.5%で観測した。この期間に期待される、振動がない場合の予測事象数は365.2であり、系統誤差は3.4%である。全体の系統誤差は6.5%である。これらのKamLANDでのデータを用いると、ニュートリノ振動パラメータの最適値はΔm^2=7.9^<+0.6>_<-0.5>×10^<-5>eV^2、tan^2θ=0.46となり、太陽ニュートリノ実験による結果と矛盾しない。さらにKamLANDと太陽ニュートリノ実験の結果を組み合わせて解析した場合のニュートリノ振動パラメータの最適値は、現在最も高い精度の測定値となっている。
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Research Products
(1 results)