2003 Fiscal Year Annual Research Report
半導体微細加工技術に基づく高密度エネルギ源の研究と携帯ガスタービン発電機への応用
Project/Area Number |
02J10871
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
源田 敬史 東北大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | MEMS / ガスタービン / 静電モータ / 静電発電機 / エレクトレット / 接触帯電 |
Research Abstract |
本年度は、開発を進めている半導体微細加工技術に基づいた携帯ガスタービン発電機の要素のうち、発電機とモータの開発を、前年度に引き続き進めた。前年度の設計から、目標とする30Wの静電モータ・発電機を実現するには、幅5μmのエレクトレットが必要となることが分かったが、エレクトレットは小型化すると、従来使われてきたコロナ放電を用いた帯電法では帯電できなくなる。そこで、新たに、水銀を用いた接触帯電を利用したエレクトレット帯電法を開発し、幅5μmのエレクトレットを実現した。 仕事関数の異なる材料を接触させたとき、その仕事関数の違いから、よりエネルギーの低い準位へと電子が移動し、接触した材料同士の間に電位が発生することが知られている。この電位のことを接触電位差と呼ぶ。このような電子の移動は、絶縁体においても起き、これにより絶縁体が帯電する現象を接触帯電と呼んでいる。つまり、この現象を利用すれば、仕事関数の異なる材料を接触させて、離すだけで、電源などを使わなくても絶縁体を帯電できる。 本研究では、エレクトレットに接触させる材料として水銀を選んだ。これは、固体と固体との接触より、固体と液体との接触の方が、均一に接触させることができ、再現性が上がるためである。この水銀との接触帯電によって、0.5μm厚のシリコン酸化膜を、表面電位50Vに再現性よく帯電させることに成功した。さらに、この方法を用いて幅5μmのシリコン酸化膜エレクトレットに帯電させることに成功した。ただし、得られた平均帯電量は、幅を小さくすると小さくなり、5μmのときでは、大きいエレクトレットで得られた値の60%に過ぎず、また、幅を小さくすると、表面の電気伝導性の影響が大きくなり、帯電安定性が劣化することが分かった。現在、この原因の解明を進めている。
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Research Products
(1 results)