2002 Fiscal Year Annual Research Report
北部ベトナム仏教寺院の伽藍構成の変遷過程に関する基礎的研究
Project/Area Number |
02J10906
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
大山 亜紀子 日本大学, 大学院・理工学研究科, DC2
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Keywords | ベトナム社会主義共和国 / 仏教寺院 / 伽藍構成 / 編年指標 / 上殿 / 前堂 / 焼香 / 阮朝 |
Research Abstract |
今回の調査によって、北部の仏教寺院において最も重要視された上殿(本尊をまつる建物)には、平面や小屋組、部材の構成に創建時の技術が残っていることが明らかとなった。伽藍を構成する他の建物については各時代にさまざまな改修が加えられており、造営時の構成については不明点も残っている。とくに、北部の仏教寺院は、中部へ遷都した阮朝(1802〜1945年)期に展開した、建物をつなぎ合わせて空間を拡大する中部の影響を受けたことがこれまでの調査から想定される。 このことから、本研究の主題である伽藍構成の変遷を明らかにするために、(1)上殿の基本構成とその年代的推移、(2)阮朝期におこなわれた改修とその影響に関する分析は必須である。したがって、本年度は北部の仏教建築に加え、中部フエの皇帝陵建築の現地調査を実施した。 北部地域においては、上殿の基本構成を明らかにする上で重要とみなした寺院5ヶ所について、集中的に調査を実施し、復元的データの作成に努めた。その成果については、上殿の基本構成に関する学術論文として執筆を進めてしる。また、ハノイ市内において新規に11ヶ寺のゼネラルサーヴェイを実施し、対象寺院が阮朝期に大幅な改修または再建されていることを明らかにした。その詳細の分析については、次年度の課題としたい。 中部フエ地域には、世界遺産に登録された阮朝の王宮や皇帝陵が造営されている。阮朝4代嗣徳帝の陵墓(1864へ1867年造営)において複数の建物を連続する手法が定着したとみなし、嗣徳帝陵を中心に調査をおこなった。この結果、平面、基壇構成、扉・窓枠の番付から、その変遷過程の一端を明らかにした。その詳細については、日本大学理工学部学術講演会にて報告した(「11.研究発表」参照)。この他に、中部地域の木造建築の推移について理解を深めるために、トゥア・ティエン・フエ省およびクアンナム省の民家調査を実施した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 大山亜紀子, 重枝豊, 他3名: "嗣徳帝陵寝殿区画の主要建築物の平面と基壇の構成について ヴェトナム・フエ建築の基本構成に関する総合研究その5"平成14年度日本大学理工学部学術講演会梗概集・建築計画系部会. 614-615 (2002)
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[Publications] 大山亜紀子, 重枝豊, 他3名: "嗣徳帝陵の窓枠と扉の番付について ヴェトナム・フエ建築の基本構成に関する総合研究その6"平成14年度日本大学理工学部学術講演会梗概集・建築計画系部会. 616-617 (2002)
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[Publications] Tran Ky Phuong, Akiko Oyama, Yutaka Shigeeda: "Nha xua Quang Nam : Tim hieu ten goi cac bo phan cau kien cua nha ruong"TRUNG TU DI TICH,2002/9. So.12. 27-36 (2002)