2003 Fiscal Year Annual Research Report
根尖性歯周炎の発症機構に関する免疫組織化学的・分子生物学的研究
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02J10958
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
鈴木 規元 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ラット根尖性歯周炎 / ラット歯髄 / 免疫組織化学 / RANKL / CD11c / 樹状細胞 / CD80 |
Research Abstract |
前年に引き続き、根尖歯周組織の防御機構の解明を目的として、ラットに実験的に惹起した根尖性歯周炎のモデルにより、破骨細胞の分化誘導に関与していると考えられているRANK(Receptor Activator of NF-kB)およびそのリガンドであるRANKLの発現の動態を免疫組織化学および分子生物学的手法を用いて検索を行った。 また、根尖性歯周炎の前段階としての歯髄の防御機構を解明する目的で、ラット歯髄における樹状細胞の発現の検索を行った。ラット歯髄においては、マクロファージをはじめとする多数の免疫担当細胞の存在が報告されているが、特に樹状細胞は高度な抗原提示機能を持った細胞として歯髄内の免疫応答に重要な役割を果たし、また、さまざまな分化段階あるいはサブポピュレーションに分類され、それぞれ特異的な機能を営んでいると思われる。そこで、樹状細胞の代表的な表面マーカーであるCD11cに陽性の細胞を中心に、それらのフェノタイプ発現を歯髄において免疫組織化学を用いて観察した。ラット臼歯歯髄において、CD11c陽性細胞は類円形・不整形・紡錘形・樹枝状等の形態を呈しており、歯冠歯髄を中心に歯髄全体に観察された。特に、象牙芽細胞層近傍の歯髄辺縁部では紡錘形・樹枝状の形態を呈する細胞が多く観察された。また、CD80陽性細胞は少数ではあるが歯冠歯髄全体に観察された。二重染色の結果、CD11c陽性細胞はED1陽生細胞の一部を構成しており、ほとんどのCD11c陽性細胞がOX6にも陽性であった。また、CD11c陽性細胞の一部は、抗CD80抗体にも陽性であった。ラット臼歯歯髄においては、CD11c陽性細胞が多数存在しており、そのほとんどがMHC class II抗原を発現していることから、これらの細胞が歯髄の免疫機能において重要な抗原提示細胞として機能していると思われた。また、その一部はco-stimulatory moleculeであるCD80を発現していることから、さらに高次の免疫応答に関与している可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] H.N.Kawanishi, N.Kawashima, N.Suzuki, H.Suda, M.Takagi: "Effects of an iNOS inhibitor on experimentally induced rat pulpitis"European Journal of Oral Science. in press.
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[Publications] N.Kawashima, N.Suzuki, H.N.Kawanishi, C.Ohi, H.Suda: "RANKL expression in rat experimentally induced periapical lesions"Journal of Dental Research. 82(Spec Iss). B-252 (2003)
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[Publications] 河西(中野)裕美, 川島伸之, 鈴木規元, 須田英明, 高木実: "ラット実験的歯髄炎におけるiNOS抑制剤の影響"口腔病学会誌. プログラム-抄録集. 18 (2003)
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[Publications] 鈴木規元, 川島伸之, 河西(中野)裕美, 須田英明: "ラット歯髄におけるCD11c陽性細胞のフェノタイプ"日本歯科保存学会誌. 46(秋季特別). 152 (2003)