2002 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV-I)TaxによるT細胞増殖促進機序の解析
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02J10963
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
岩永 律子 東京医科歯科大学, 疾患遺伝子実験センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | 成人T細胞白血病ウイルス / 成人T細胞白血病 / Tax / 細胞周期 / サイクリン / 転写活性化 / E2F / サイクリン依存性キナーゼ |
Research Abstract |
本研究は、成人T細胞白血病ウイルス(HTLV-I)による成人T細胞白血病(ATL)の発症機構の解明を目的としている。ウイルスの転写活性化因子TaxはHTLV-Iによる宿主T細胞癌化に深く関与している。我々は、Taxが細胞増殖を制御する細胞周期を直接促進することを見いだした。Taxによる細胞周期促進機序の解析で、サイクリン及びサイクリン依存性キナーゼの発現上昇を認めた。これら遺伝子の発現誘導機序を明らかにするために、サイクリンD2およびサイクリン依存性キナーゼcdk2,4,6遺伝子のプロモーターを単離し、Taxによる転写活性化の有無を検討した。その結果、TaxはサイクリンD2,cdk2,6プロモーターを転写活性化したが、cdk4プロモーターは活性化しなかった。従って、Taxはcdk2,6遺伝子を直接活性化し、cdk4遺伝子は、Taxに誘導された細胞周期の進行に伴い間接的に活性化されると考えられた。Taxとプロモーターの変異体を用いた検討により、TaxはサイクリンD2を主にNF-κB経路を介し一部CREB経路を介して、転写レベルで直接活性化していることが明らかになった。また、cdk2の転写活性化は主にNF-κB経路に依存し、cdk6の転写活性化はNF-κB経路、CREB経路に依存することが示唆された。 さらに我々は、Taxは線維芽細胞では細胞周期を促進できないことを見い出した。TaxがT細胞特異的作用する原因を明らかにするために、TaxによるサイクリンD2,cdk2,6遺伝子の転写活性変化を検討した。Taxはこれら遺伝子プロモーターを活性化しなかった。以上から、Taxによる細胞周期促進作用はT細胞特異的なサイクリン/cdk遺伝子の転写活性化に依存すると考えられる。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Iwanaga, R.: "Molecular mechanism of cell cycle progression induced by the oncoprotein Tax of human T-cell leukemia virus type I"Oncogene. 20. 2055-2067 (2001)
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[Publications] Huang, Y.: "Direct trans-activation of the human cyclin D2 gene by the oncogene product Tax of human T-cell leukemia virus type I"Oncogene. 20. 1094-1102 (2001)
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[Publications] Ohtani, K.: "Cell type-specific E2F activation and cell cycle progression induced by the oncogene product Tax of human T-cell leukemia virus type I"J.Biol.Chem.. 275. 11154-11163 (2000)
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[Publications] Iwanaga, R.: "Requirement of cell growth for gene expression induced by the lactose and tetracycline repressor-operator combination system in a human T cell line"Biochem.Biophys.Res.Commun.. 276. 546-552 (2000)