2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J10988
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
梅田 達也 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 海馬 / シナプス / GFP / 組織培養 |
Research Abstract |
シナプスは細胞間接着構造であり、その形成・維持過程には接着分子が重要な役割を果たしていると考えられる。代表的な接着分子であるN-cadherin分子はシナプスに局在することが知られ、シナプス形成におけるN-cadherin分子の局在変化と接着機能について解析を進めている。 N-cadherin分子は細胞間で機能しているため分散培養よりも組織培養の方がin vivoでの機能を反映すると考え、海馬スライス培養を用いて実験を行っている。スライス培養でのシナプス分子の動態を検出するため、組換えアデノウイルスによる遺伝子導入と神経細胞特異的にCrerecombinaseを発現するトランスジェニックマウスを組み合わせることで神経細胞特異的に遺伝子発現を起こす系を確立した。この方法でGFP分子を発現させて2光子顕微鏡で観察するとスパインなどの樹状突起上の微細構造を観察することができた。また、シナプス後肥厚部(PSD)に局在するPSD-95とGFPの融合分子のタイムラプス観察を行うことで、PSD構造の形成・リモデリングを検出することができた。従ってこの手法はin vivoに近い状態での分子の働きを調べるにおいて有用であると考えられる。 次に、シナプス形成時のN-cadherin分子の局在変化を検出するため、N-cadherinとGFPの融合分子をスライス培養に発現させて観察を行った。しかしながら、この融合分子は繊維芽細胞では接着部位への局在を示したが、スライス培養においては神経細胞の接着構造への局在を再現することはできなかった。現在、N-cadherinの翻訳を阻害するように設計したアンチセンスオリゴヌクレオチドを、GFP分子を発現している神経細胞に注入することで、N-cadherinの接着機能がシナプスの形態に及ぼす影響についての実験を進めている。
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Research Products
(1 results)