2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J11025
|
Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
松本 好太 青山学院大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 電子レンジ / 異方性損失シート / 異方性FDTD法 / ドア間隙部 / シールド効果 |
Research Abstract |
従来、電子レンジのドア部に使用されるチョーク構造は、量産性、コスト面、そしてシールド性能という観点から広く利用される対策技術であるが、庫内側への反射成分のみがシールドとなること、.また単一の周波数のみしか対応できないことなど、これ以上の性能向上は難しい現状にある。これに対し、損失シートは反射損失に加えシート自体の損失、さらに伝搬損失により現状よりも高いシールド性能が期待でき、また材料定数のうち透磁率は周波数分散性をもつことから、広帯域シールドが望めるなど、シールド性能改善という観点からはメリットの多い対策技術と考えられる。 そこで本研究では、損失シートをドアと本体の間隙部へ配置した場合の効果を検証した。シートとしては、伝搬損失効果による高いシールド性能が期待される異方性損失シートを使用し、異方性FDTD法を用いてドア部からの漏洩波に対するシールド性能を検討した。具体的には、クロロプレンゴムにカーボンファイバーを混入したシートを想定し、ファイバーの充填角度φに対するシールド効果を解析した。 この結果、クロロプレンゴムにカーボンファイバーを40%混入させたシートを選択し、その充填角度を70°とすると最大約38dBのシールド効果が得られ、一般に電子レンジに要求される30dB以上のシールド効果が実現でき、電子レンジのドア間隙部におけるシールド材として良好な効果をもたらすことが分かった。しかし、シールド効果のピークは顕著ではなく、異方性の効果としてはそれほど得られていないと考えられる。そこで、異方性の効果をもたらす要因とひとつと考えられる複素比誘電率の主軸値に着目し、主軸値の差を大きくした仮想のシートを提案して同様の検討を行った結果、シート内の偏波変換効果が増大し、約44dBまで性能向上が可能であることが分かり、シールド材として最適な異方性損失シートの選択指針を提供することができた。
|
Research Products
(6 results)