2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J11025
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
松本 好太 青山学院大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 電子レンジ / ドア間隙部 / FDTD-HTE法 / 磁性損失材 / 温度分布 |
Research Abstract |
電子レンジには、食品の取り出し口としてドアは必要不可欠なものであり、この本体とドアとの間隙から漏洩する不要電波のシールド技術は、これまでにもEMCの分野において重要な問題として取り上げられてきた。特に最近では、無線LANなど電子レンジの使用周波数帯である2.45GHzを使用する通信機器が急速に普及し始め、これらの干渉問題が大きくクローズアップされている。従来の電子レンジには、シールド技術としてチョーク構造が設けられており、高いシールド効果を維持できるが、その構成がλ/4線路を応用した構造となっているため、ドアの薄型化は困難な状況となっている。 この問題に対し、我々はすでに、電子レンジ本体とドアの間隙に損失材を充填し、漏洩電波に対して30dB以上の基準レベルを満たす良好なシールド効果が得られることを確認している。しかし、実用的な観点から検討した場合、損失材自体の温度が変化し、シールド効果に影響を及ぼす可能性がある。そこで本研究では熱伝導方程式をFDTD法に組み込んだ解析手法(FDTD-HTE法)を損失材に適用し、庫内からの漏洩電波防止を目的とした損失材における温度変化を検討した。具体的には、本体とドアとの間隙を2mmとし、損失材として励振周波数2.45GHzにおいて最も大きな磁気損失および透過減衰量をもたらす磁性シートとして知られる、IR-B02材(εr=29.0-j2.3、μr=1.9-j2.45 @f=2.45GHz)を用いることとし、損失材の初期温度は常温を仮定して25℃と設定した。 まず、損失材加熱60秒後の温度分布について検討を行った結果、電波の入射面に近い部分ほど温度が高く、入射面から離れるにつれて温度が低くなるなど、漏洩電波に対する損失材の温度変化を視覚的に観察することができた。そこで、この温度分布において損失材の前面および後面で最も温度の高い点に着目し、加熱時間に対する温度変化を検討した。この結果、電子レンジの60秒間の使用では損失材の温度は2℃程度と大きな変化を示さないものの、時間とともに著しく温度が上昇する傾向を確認した。このことから、さらに長時間使用した場合、損失材の温度は急激に高くなることが推定できた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 毛塚敦, 松本好太, 橋本修, 牧田実: "電子レンジ側壁に設けられた導波管の取り付け位置に対する加熱ムラ解析"電子情報通信学会論文誌. Vol.J85-B, No.11. 1995-1998 (2002)
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[Publications] K.Matsumoto, K.Kimura, O.Hashimoto: "A Study on Temperature Variation of the Lossy Material Inserted into the Gap of the Microwave Oven"Proceedings of Progress In Electromagnetics Research Symposium 2002. 798-798 (2002)
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[Publications] K.Matsumoto, O.Hashimoto, M.Makida: "Optimum Design for the Door Corner of a Microwave Oven"Proceedings of 2002 Asia-Pacific Microwave Conference. Vol.2. 897-900 (2002)
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[Publications] 松本好太, 橋本修, 牧田実: "FDTD法を用いた電子レンジドアコーナー部の最適設計に関する解析"電子情報通信学会環境電磁工学研究会技術報告. 25-30 (2002)
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[Publications] 松本好太, 橋本修, 牧田実: "電子レンジの高調波ノイズに対するドアシールド構造の効果"電子情報通信学会通信ソサイエティ大会講演論文集. 289-289 (2002)
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[Publications] 松本好太, 橋本修: "電子レンジドア部からの漏洩波に関する伝搬モード解析"電子情報通信学会総合大会講演論文集. (発表予定). (2003)