2003 Fiscal Year Annual Research Report
金属錯体接合超分子・高分子のマルチ電子移動系の構築とナノデバイス開発
Project/Area Number |
02J11102
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
武藤 豪志 信州大学, 繊維学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | ナノデバイス / 高分子 / 超分子 / 金属錯体 / フタロシアニン錯体 |
Research Abstract |
フタロシアニン錯体は従来から有機デバイスとしての利用が検討されている。そこで本研究ではフタロシアニン錯体をもとに、非線形光学材料の開発を行った。フタロシアニンを用いた非線形光学材料としては、第三高調波発生デバイスを中心としての応用が詳細に研究されているが、我々は新たに以下のことを見出した。 1.光学活性なフタロシアニン錯体は、自発的に異方性の高い超分子構造を形成する。これら超分子は均一性炉高く、光学特性の優れた薄膜状態として得られることから、容易に薄膜デバイス化が可能である。対称型のフタロシアニン錯体については3次非線形光学特性を、非対称型については2次非線形光学特性を調べた。その結果いずれの錯体も光学活性なのもが、ラセミ混合物と比較して大きな非線形光学特性を持つことを明らかにした。 2.非対称型のフタロシアニン錯体は、2次非線形光学材料として有望である。しかし、非対称型フタロシアニン錯体の合成は困難であり、充分な物質量を得ることが難しい。それに伴って、2次非線形光学効果に影響を与えると思われる置換効果も、詳細に検討されているとはいい難い。そこで我々は、高い収率で非対称型のフタロシアニン錯体を合成する手法の開発、およびそこで得られたフタロシアニン錯体を出発物質とした各種誘導体の合成を行った。その結果、前駆体および精製過程を見直すことで、高効率(グラムスケール)で純度の高いフタロシアニン錯体を得られる条件を見出した。そしてこのフタロシアニン錯体を元に種々の電子受容性基を持つ誘導体を高い収率で合成することが出来た。今後、これら錯体の2次非線形光学効果の検討を行う。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 武藤 豪志: "Second harmonic generation from unsymmetrical phthalocyanines"Technical Report of IEICE. OEM2003-16. 1-4 (2003)
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[Publications] 武藤 豪志: "NLO properties of chiral phthalocyanine films"Proceedings of SPIE. 5212. 282-291 (2003)
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[Publications] 武藤 豪志: "Enhanced Third-order Optical Nonlinearlity in Helical Assembly of a Chiral Vanadyl Phthalocyanine"Chemistry Letters. 33・2. 132-133 (2004)
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[Publications] 佐々 高史: "A new device geometry for highly efficient photorefractive performances in polymeric materials"OSA Trends in Optics and Photonics. 87. 370-375 (2003)
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[Publications] 佐々 高史: "Enhanced photorefractive two-beam coupling in low-Tg polymeric materials with a new device structure"Journal of Optical Society of America, Section B. (投稿受理済). (2004)