2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J11131
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
徳永 光 一橋大学, 大学院・法学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 刑事手続 / 科学的証拠 / 科学鑑定 / 法と心理学 |
Research Abstract |
本年は、刑事手続きにおける心理学の利用方法およびその他科学的証拠の証拠能力と証明力とに関する研究を継続した。まず、「法と心理学会」ガイドライン検討部会が作成のための作業を行っている目撃供述ガイドラインのうち、供述聴取手順と記録法の部分について検討を行った。また、2002年第3回法と心理学会において発表した内容(一橋大学法学研究科教授・後藤昭との共同研究)を補足し論文にまとめた(共同執筆)。 その他科学的証拠の証拠能力と証明力の問題については、臭気選別および声紋鑑定が争われた事件の記録を収集し、担当弁護人に対する聴き取り調査を行った。 また、鑑定制度にも関わる問題点として、再鑑定資料の保存に関する研究と調査を行った。捜査機関が鑑定資料を全量消費してしまった場合の法的取り扱いについて、アメリカの連邦およびアラバマ州等の最高裁判例を分析し、日本でのこの問題の解決方法を検討した。その内容は、2003年9月に行われた刑法理論研究会および検死研究会において報告し、出席者から様々な意見や示唆を受けることができた。また、実際上、再鑑定資料の保存がどのように行われているかを把握するため、また、再鑑定資料が保存されていなかった事例、適切に保存されていた事例を収集するために、福岡、京都、さいたま、仙台、札幌の各弁護士会所属の弁護士約1900人に対して、アンケート調査を行った。回答数が非常に少ないため、結論は未だ出せない状況にある。これまでの回答の結果からは、そもそも被告人側が鑑定結果を争うこと、再鑑定を実施すること自体が少ないことが分かった。そのうち、再鑑定を実施したいと思ったものの資料が全量消費されてできなかった例が、覚せい剤等の事案に見られた。また、再鑑定が実施できた場合の、資料の保管元として、警察や科警研等の公的機関であった例はなかった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 徳永 光: "目撃供述ガイドライン作成のために(6) 目撃供述聴取の手順と記録法 コメント"季刊刑事弁護. 35号. 156 (2003)
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[Publications] 後藤昭, 徳永光: "裁判に関わる心理学者のための倫理規範の提案"法と心理. 3号(刊行予定). (2004)
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[Publications] エドガー・バトラー他著/庭山英雄・黒沢香監訳: "『法と心理叢書』第3号『マクマーチン裁判の深層-全米史上最長の子ども性的虐待事件裁判』"北王子書房(刊行予定). (2004)