2002 Fiscal Year Annual Research Report
『近代的』になること:公立小学校/教員とフィリピンの国民形成,1900-41
Project/Area Number |
02J11135
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
内山 史子 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | フィリピン / アメリカ統治 / 教育政策 / 国民形成 / 公立小学校 / 近代化 |
Research Abstract |
本研究の目的は、アメリカの植民地体制下で進行したフィリピンの国民形成の特質を、地域社会における公立小学校および教員に焦点を当てて明らかにすることである。本年度は、地域社会における公立小学校という存在を多面的に描くために、1)公立小学校が担わされた国民形成政策の実施機関という役割を浮かび上がらせることと、2)地域社会の人々の目に映った学校の姿・教科書に現れる知識化された「近代国家」像・国民形成の実施機関としての校外活動の実態を明らかにすることを目標とした。1)については、教育局報告書やフィリピンで発行された新聞・雑誌記事等を用いて、国家レベルの教育政策に着目して学校が担わされた国民形成の役割と方向性を検討し、国際学会(*1)で口頭発表を行った。現在、論文としてまとめている最中である。2)については、国内での調査に加え、ミシガン大学ベントリー図書館および大学院図書館での資料調査・収集を行い、アメリカ人教員・行政官が撮影した写真資料、日記および書簡、フィリピン各地の学校視察報告等を収集した。ただし、米国に予想以上に多数の資料が保存されていることが明らかになったこと、また教科書の収集が不完全であるため、米国での継続調査が必要である。 今回収集した資料からは、フィリピン住民が服装や衛生観念といった側面から「近代化」をしていった様子、そしてフィリピン人教員が次第にこの「近代化」を体現する模範的存在となっていった様子がおぼろげながら浮かんでくる。しかし、これらの資料のほとんどがアメリカ人から見たフィリピン社会・フィリピン人・学校教育の姿についての記述であるため、資料の読み方をさらに検討すること、またフィリピン人の視線・認識を明らかにする資料の発掘が今後の課題となる。 (*1)Fumiko Uchiyama, "Educational Policies and Images of a Filipino Nation during the Commonwealth Period." Sixth Annual Asian Studies Conference Japan, Held at Sophia University, Tokyo. June 23, 2002.
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