2002 Fiscal Year Annual Research Report
わが国の経済状況下における経済政策の効果に関する研究
Project/Area Number |
02J11153
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
釣 雅雄 一橋大学, 大学院・経済学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 財政政策 / 消費 / 公共投資 / 持続可能性 |
Research Abstract |
1.研究目的・実施計画 目的はマクロ経済政策の分析であるが、本年度実施計画は以下の通り。 (1)財政政策の不確実性が消費・投資に与える影響の実証分析。 (2)財政政策が緊縮か拡大か。(3)財政の予算と決算との乖離。意図された支出がなされない不確実性。 (4)政策としての公共投資のストック価値の計測および、その効果の分析。(5)国際比較 2.研究発表 研究目的および実施計画に基づいた分析を二回学会で発表し、また、本年度中に一本の論文が雑誌に掲載された。 3.研究概要 (1)「財政政策の不確実性と民間消費」日本経済学会春季大会 本研究では、財政政策の不確実性が民間消費にマイナスの効果を持つことを理論および実証から分析を行った。不確実性の指標については、財政政策の景気への対応度、予算と決算との乖離率、財政政策のトレンドからの乖離率といった指標から複合的に判断した。家計は将来の所得の変動に対して、将来に備えた予備的貯蓄を行っている。財政政策の不確実性が所得の不確実性と結びつきがあるとすれば、消費も財政政策の不確実性に反応する。 (2)「社会資本ストック便益と負担の世代別評価」 本研究では、公共投資の効果を世代別評価という視点から分析を行った。政府債務増大による政府予算の制約が強まり、公共投資はさらなる効率性の上昇などが求められている。また、世代間の負担や便益の計測が重要な政策インプリケーションとなる。公共投資にはストックとしての側面があるため、その増大による世代間の相対的な純便益増大の可能性を示した。一方で、金利上昇が起こる場合には、大幅な純便益低下が生じる可能性も示した。 (3)その他:政府債務の持続可能性、国際比較など 現在、政府債務の持続可能性検証や財政政策の国際比較の分析を行っている。持続可能性については金融政策との関係、国際比較ではインドネシアやニュージーランド、インドなどアジア・オセアニア地域について行っている。
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Research Products
(1 results)