2003 Fiscal Year Annual Research Report
わが国の経済状況下における経済政策の効果に関する研究
Project/Area Number |
02J11153
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
釣 雅雄 一橋大学, 大学院・経済学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 財政政策 / 政府債務の持続可能性 / 消費 / 財政国際比較 / 国際収支 |
Research Abstract |
主に経済政策について昨年度に引き続き分析を進めた。特に政府債務との関係分析、国際経常収支との関係分析、国際比較分析、金融政策との関係分析を行った。 政府債務については持続可能性分析を中心に行った。従来の持続可能性分析は、過去の財政運営を分析するととで将来の持続可能性を分析するものが多かった。また、債務の利払いに関する契約が名目値ベースで行われることや、債務残高の増大に伴い債務のデフォルト・リスクが高まることなどについての分析は少なかった。Macroeconomic Impacts of Aging in Japan on the Balance of Current Accountsにおいてはこの結果を用いて、政府ISバランスの推計を行った。 政府債務の持続可能性は、多くの国で問題となりている。アジア・太平洋諸国についてのケース・スタディーを行い、我が国との比較分析とした、このうちインドネシアについての分析はインドネシア中央政府財政と政府債務の持続可能性-財政構造、政策効果、債務シミュレーション分析-」として発表した。共通して問題となるのは、財政の透明性、効率性、説明責任である。我が国ではこれらの要素が十分ではない。持続可能性の問題は制度問題との関係も重要である。 国際経常収支との関係分析においては、政府部門の他に民間部門の分析が重要となる。少子高齢化に伴い将来の総貯蓄率低下が予想される。このとき、政府ISバランスの赤字拡大と合わせて、国際経常収支を赤字化させる要因になりうる。将来の貯蓄率の推計は、年齢別の貯蓄率をまず推計し、将来の人口動向を合わせてみることで行った。統計に制約があり、年齢別貯蓄率推計は難しいが、いくつかの手法を用いることで可能となった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Takatoshi Ito, Masao Tsuri: "Macroeconomic Impacts of Aging in Japan on the Balance of Current Accounts"一橋大学経済研究所 ディスカッションペーパー. 170. 1-45 (2003)
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[Publications] 釣雅雄: "インドネシア中央政府財政と政府債務の持続可能性-財政構造、政策効果、債務シミュレーション分析-"JBIC リサーチペーパー. 26. 1-46 (2003)