2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J11177
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
山本 唯人 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 危機管理 / 戦争 / 総力戦 / 災害 / セキュリティ / 空襲 |
Research Abstract |
・本年度は、当初、戦争被害についての既存調査、既存統計データの分析、整理をおこなう予定であったが、方向性をやや変更し、以下にあげる三つの流れを中心に「都市」と「危機管理」の問題についての主として英語圏での研究動向をサーベイした。1)イギリスの社会学、歴史学における「総力戦」と社会変動についての研究。特に、70年代以降、Arthur Marwickによって展開されたヨーロッパ規模での比較研究の流れ、および、ギデンズらによっておこなわれたモダニティ論との接続、2)カナダの研究者、Quarantelliに主導されてきた戦後アメリカ〜ヨーロッパにおける災害研究の流れとその現代的展開。特に、80年代以降に見られる構築主義的なアプローチの登場、3)70年代以降の都市研究における「セキュリティ」という主題の扱いについて。ただし、「犯罪」「都市暴動」といった主題がメインで、「災害」からのアプローチは弱い。これらのサーベイを通して、本研究とも接続可能な文脈が複数の研究動向のなかで生まれてきていることが確認できた。 ・今年度のフィールドワーク地として、当初、函館を予定したが、諸般の事情により、もうひとつの調査地である静岡での調査を前倒ししておこなうこととし、図書館における文献調査、関係者からの聞き取りなどをおこなった。特に、「静岡空襲を記録する会」を前身とする静岡平和資料センターにおいて、空襲から5年前の大火についての体験者からの聞き取り、また、さまざまな人脈を広げることができたのは大きな収穫であった。 ・本研究の対象(第二次世界大戦期における東京市の空襲対策)と直接関わる共同研究の成果、『帝都と軍隊』(上山和雄編、2002年、日本経済評論社)の書評を依頼を受けて執筆した。
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Research Products
(1 results)