2003 Fiscal Year Annual Research Report
「バリ文化」のインヴォリューション:文化の社会的用法
Project/Area Number |
02J11186
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
中野 麻衣子 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | インドネシア / バリ / 消費生活 / 近代 |
Research Abstract |
2003年5月には日本民族学会の研究大会において、これまでの研究成果を発表した(題材「現代インドネシア・バリ社会における「バリ文化」の表象と消費-文化のインヴォリューションを超えて-」(5月24日於 京都文教大学))。この発表では、バリ人の消費生活の拡大のなかで、儀礼活動が活性化・肥大化している現状を具体的な事例とともに説明し、その社会的条件を示すとともに、それがバリ人の近代志向によるものであると論じ、バリ社会自ら定義する「近代」概念を提出する試みを行った。これを契機に、バリ人が消費生活において表現している近代主義と、とりわけ開発を機軸に国家建設を進めたスハルト大統領時代からのインドネシアが志向してきた近代主義との関係についても研究を進めている。 2003年8月半ばからの一ヶ月間は、インドネシア、バリでの実地調査を行った。この調査では、とりわけ研究論文執筆のための補足データの収集に努め、州都デンパサールでの若干の文献資料の収集と、調査村(ギアニャール県ウブド郡プリアタン村)での聞き取り調査を行った。語りの収集においては、とりわけ新たな調査課題となったバリ人の消費主義的近代志向と近代化に対する内省に焦点を当てた。これを通して、今日バリ人は近代批判を行う際には、バリ文化の言語を用いているという状況を見出すことができた。 この調査の結果を踏まえて、研究論文の具体的な目次構成を決め、現在、執筆を開始している。
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