2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J11195
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
小林 聡明 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 在日韓国・朝鮮人 / GHQ / メディア史 / 米軍政 / 朝鮮戦争 / パーソナルメディア / プロパガンダ |
Research Abstract |
平成15年度は、昨年度と同様に米国および韓国にて資料調査ならびに論文執筆を行った。 まず米国では、米国国立公文書館にて朝鮮戦争期に関する資料調査をおこなった。特にプロパガンダの観点から国連軍捕虜部隊やOSS(戦略諜報局)、米国第8軍、米国心理作戦部隊等の資料分析を中心とした研究を進め、その成果は『アジア遊学』(勉誠出版)、『インテリジェンス』(紀伊国屋書店)に論文として発表し、日本社会学会でも報告を行った。次にGHQ資料群のなかから米軍政期南朝鮮資料を発掘し、韓国および日本メディア史研究の空白期間となっている米軍政期南朝鮮における米軍検閲体制に関する論文を執筆した。その成果を『メディア史研究』で発表した。以上の資料調査および論文執筆等を行ったあと、平成15年10月に米国から帰国した。 次に、平成15年10月からふたたび韓国にて研究活動、資料調査をおこなった。韓国では、ソウル大学中央図書館、韓国国立国会図書館、韓国国立中央図書館、国史編纂委員会にて1945年9月から1948年8月までの南朝鮮にて発行されていた新聞のリスト作成と所蔵状況を明らかにした。それにより、これまで韓国のメディア史および歴史研究では把握されていなかった新聞を多数発見した。なかでもGHQ占領下日本で発行されていた在日朝鮮人新聞が、米軍政下南朝鮮に送付され、保存されていた事実を突き止めた。それは研究仮説であった朝鮮人メディアの越境性の実証にむけての大いなる進展であった。また、南朝鮮で発行をされた新聞の分析を通じ、南朝鮮における「新聞」がメディアとしてどのような意味づけがなされていったのか明らかにした論文を現在、学会誌に投稿している。約2年間にわたった韓国および米国での資料調査をふまえ、本年6月末の提出を目指し,研究論文の完成を急いでいるところである。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 小林 聡明: "米軍政期南朝鮮におけるパーソナルメディアと検閲-米軍による検閲体制の成立過程を中心に"メディア史研究. 16号. 130-146 (2004)
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[Publications] 小林 聡明: "韓国におけるOSS研究の動向と資料収集状況"インテリジェンス. 3号. 107-111 (2003)
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[Publications] 小林 聡明: "解放後北部朝鮮におけるメディアの成立-1945〜1948年"アジア遊学. 54号. 119-131 (2003)