2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J11358
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
河野 智哉 宮崎大学, 農学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 魚類(コイ) / 生体防御関連遺伝子 / コルチゾール / 免疫抑制 / FKBP / Cyclophilin |
Research Abstract |
本年は、免疫刺激(ストレスホルモン投与)をしたコイで発現する生体防御関連遺伝子の解析を中心に研究を進めた。初めに、コイより摘出した頭腎白血球をコルチゾールで経時的に作用させ、頭腎白血球での活性酸素産生能を測定した。その結果、非処理のコントロール郡と比べ、投与郡では有意な免疫応答の抑制が確認された。続いて、投与郡のコイ(頭腎白血球)よりcDNAライブラリーを作製し、EST's解析によって発現遺伝子の調べた。その結果、生体防御に関与する遺伝子は全体の4.8%であり、このうち、FK506/rapamycin-binding protein (FKBP)およびeyclophilin遺伝子は、魚類より初めての分離であった。続いて、これらの遺伝子の構造および各臓器における発現の解析を行った。 FKBP遺伝子は、138残基のアミノ酸をコードしており、分子量13kDaであることが確認された。さらに、哺乳類のFKBPファミリーと相同性解析を行った結果、FKBP13に対し70%以上の高い相同性を示したが、FKBP12に対しては40%未満の相同性であった。このことから、コイより分離されたFKBPは、FKBP13に属している可能性が示唆された。 Cyclophilin遺伝子は、166残基のアミノ酸をコードしており、分子量は約18kDaであることが確認された。哺乳類のCyclophilinファミリーとの相同性解析からは、Cyclophilin-A(17.7kDa)に対し40%以上の相同性を示し、-B (21kDa)に対しては30%程度の相同性であった。これより、コイより分離されたCyclophilinはtype-Aに類似していることが示唆された。臓器における各遺伝子の発現をRT-PCRによって確認した結果、両遺伝子ともに、通常状態の頭腎、脾臓、肝臓、脳、心臓で発現することが確認された。さらに、コルチゾールで経時的(0,1,8 and 16 hrs)に処理した各臓器での発現解析では、16時間目の肝臓、脳および心臓において、FKBPおよびCyclophilin遺伝子の発現が抑えられることが確認された。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] H.Kawano, T.Kono, H.Watanuki, R.Savan, M.Sakai: "The analysis of expressed genes in head kidney of common carp Cyprinus carpio L.treated with cortisol"Comparative Biochemistry and Physiology. 136・4. 875-886 (2003)