2004 Fiscal Year Annual Research Report
英仏海峡にまたがる政治文化のネットワークと中世後期イングランドの王権理念
Project/Area Number |
02J11396
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
梁川 洋子 関西大学, 文学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | イングランド / マニュスクリプト / 政治文化 / 王権理念 |
Research Abstract |
昨年度より引き続き英国ウェールズ大学スウォンジー校において、グリフィス教授より研究上の助言をうけつつ、史料収集および中世後期イングランドの王権理念についての研究を深めた。とくに、中世イングランド史研究に不可欠であるマニュスクリプトの読解について有益な助言と指導を得ることができた。さらに、英国15世紀史学会およびロンドン歴史研究所の研究セミナーに参加し、最新の研究動向について得るところがあった。 史料収集としては、とくに14世紀後半の『トマス・ウォルシンガムの年代記』、15世紀のビーチャム伯家にまつわる画集『ビーチャム・パジェンツ』(系図のほか同時代の貴族の生活風景を描いたもの)といった、中世後期の政治文化に関する重要な刊行史料を購入したほか、ロンドンの国立公文書館において、マニュスクリプト史料群の分析につとめた。 一時帰国中の平成16年6月21日には、東京のお茶ノ水女子大学において、リーズ国際中世学会における報告の準備のため、準備報告と研究打ち合わせをおこなった。その結果をもとに、同年7月のリーズ国際中世史学会では、The Duchy of Lancaster manor of Caldicot in South Wales(南部ウェールズにおけるランカスター公領荘園カルディコット)と題する報告をした。英国でのマニュスクリプト史料類の読解と分析から得た成果の一部をもとに、15世紀のウェールズ辺境における地域社会の政治・経済状況とそれに関連する様々な史料類の成立と性格について、まとめたものである。このリーズ報告をもとにした研究報告書は、『日本ハスキンズ歴史協会ジャーナル』第1号(鶴島博和編)に所収、平成17年春に刊行される予定である。 なお、平成16年6月14日〜6月27日まで日本に一時帰国したため、在外研究は平成15年7月9日から平成16年12月28日まで、のべ537日間に亘った。
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