2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J11402
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
森田 泰介 関西大学, 文学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 加齢 / 展望的記憶 / 自発的想起 / 無意図的想起 / 外的記憶補助 / 記憶方略 / 認知過程 / 不随意記憶 |
Research Abstract |
本研究では高齢者の展望的記憶課題における自発的想起能力を向上させるための知見を開発することを目的に,高齢者及び若齢者を被験者として5つの実験的研究及び1つの調査的研究を実施し,自発的想起能力を向上させる可能性を持つ外的記憶補助や,自発的想起確率と相関関係にある無意図的想起(i.e.想起意図がないにも関わらずふと記憶が浮かんでくる現象)について検討した.これらの研究から新たに得られた主な知見は以下の2点に区分可能である. 1.高齢者の自発的想起を向上させるための外的記憶補助としては,展望的記憶課題の遂行にとって必要となる3種類(行為,意図存在,手がかり)の記憶のうち,手がかりの記憶表象を活性化させるものが有効であること. 2.高齢者の無意図的想起の頻度は,実験室実験よって検討した場合には若齢者と差が見られないこと.また,無意図的想起の発生においては,外界に存在する手がかりの属性(e.g.,熟知価)や,手がかりに対する処理の属性(e.g.,意味処理)が重要な役割を果たしており,それらの属性を操作することにより,無意図的想起の発生頻度や想起される記憶の内容が変化すること. これらの結果から,高齢者における展望的記憶の自発的想起能力を高め,し忘れを防ぐためには,手がかりの記憶表象を活性化させる外的記憶補助を用いることや,無意図的想起の頻度を増加させる認知方略を用いるようにすることが有効であることが示唆された.なお,これらの成果の一部は28th International Congress of Psychologyや,6th Tsukuba International Conference on Memoryなどで発表されている.また,補助金は主として高齢者の認知機能とその補償に関する書籍の購入代金と国際学会参加・発表費用に充てられた.
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Research Products
(2 results)