2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J11402
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
森田 泰介 関西大学, 文学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 加齢 / 展望的記憶課題 / 自発的想起 / 認知過程 / 外的記憶補助 / 日常記憶 / 無意図的想起 / 行為の記憶 |
Research Abstract |
今年度は,展望的記憶課題における自発的想起の認知過程について若年者を被験者とした実験を実施することにより,研究代表者が提案中の新たなモデルの検証と精緻化を行い,その基礎的なメカニズムの一端を解明した.新たに得られた主な知見は以下の3点に区分可能である. 1.展望的記憶成績を向上させる効果を持つのは様々なリマインダの中でも,行為内容に関するリマインダではなく,行為の始動時機や,意図の存在に関するリマインダであること. 2.展望手記憶課題における自発的想起の認知過程には,作動記憶に含まれる音韻ループが関与している部分が存在すること. 3.展望的記憶課題における自発的想起の認知過程に感情,特にネガティブな感情が関与していること. これらの結果を分析することにより,展望的記憶課題における自発的想起には少なくとも行為表象,意図表象,時機表象の3種類の記憶表象が関与していること,感情などの内的要因が外界と相互作用しながら自発的想起を実現させていることなどが示唆され,研究代表者が提案中の新たなモデルが支持された.なお,上記の1については,すでに4th International Conference on Memoryで発表されており,また「Reminders supporting spontaneous remembering in prospective memory tasks」という題名で論文を執筆し現在は英文校閲中である.また,2,3については来年度,日本心理学会と日本教育心理学会などにおいて発表される予定となっている.今年度の補助金は主に,実験の実施と結果の分析にあたって必要となるコンピュータおよびその制御を行うソフトウェアの購入に充てられた.
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