2003 Fiscal Year Annual Research Report
確率過程モデルによるトライボロジー問題に関する逆問題的アプローチ
Project/Area Number |
02J11514
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
内舘 道正 岩手大学, 工学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | トライボロジー / 反応生成膜 / 表面粗さ / シミュレーション / 電気化学 |
Research Abstract |
前年度に引き続き、環境負荷や火災事故などの低減のための技術として必要とされている水潤滑環境下でのトライボロジー問題を取り上げて実験・解析を進めた。今年度は、特に水中の微量溶存イオンの影響に着目した。 実験では、摩擦部が水中に浸漬されたピンオンディスク型の摩擦摩耗試験機を用い、種々の溶液中における摩擦摩耗試験を実施した。試験材料としては、SUS304 vs.Al_2O_3、電磁SUS vs.Al_2O_3を用いた。 実験の結果、SUS304の摩耗に関するイオンの影響としては、酸化剤であるNO3^-が摩耗を促進し、Cl^-とSO_4^<2->のような静的な腐食環境下では悪影響をおよぼすイオンがトライボ環境下では潤滑性を向上することが明らかとなった。また、良好な潤滑状態が保たれている間は摩擦表面のNi濃度が通常の面よりも約2倍程度に増加していることがわかった。著者の知る範囲で同様な実験はこれまで行われてきておらず、この事実は今回の実験により初めて明らかになったものと思われる。また、摩擦表面の自然電位変化については、摩擦係数の変動と自然電位変化、摩耗量と自然電位降下量には明確な相関が見られ、電気化学的手法の有効性が明らかとなった。 トライボロジー特性に及ぼす表面形状の影響を詳細にモデル化および検討するため、三次元表面形状の評価プログラムを開発した。このプログラムでは、凹凸の大きさだけでなく、三元的な傾斜やひずみ度などのパラメータや確率密度関数などを算出することができる。 さらに、著者らが提案している三次元表面形状モデルのソフトウェアゲージとしての有効性を検討し、国際学会において提案した。 今後は、逆問題解析に必要となる摩擦表面に生成されている潤滑膜の組成および特性を明らかとする。また局部的な接触圧力、オイルピッドの体積などのパラメータの計算アルゴリズムを追加したいと考えている。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 内舘道正, 岩渕明, 清水友治, 劉海波: "水潤滑環境下でのステンレス鋼のトライボロジー特性に関する研究-水道水中の溶存イオンの影響-"トライボロジスト. 49巻2号. 173-180 (2004)
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[Publications] 内舘道正, 岩渕明, 劉海波, 清水友治: "水潤滑環境下におけるトライボケミカル生成物のSEM観察およびEPMA分析"トライボロジスト. 49巻2号. 181-188 (2004)
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[Publications] 劉海波, 岩渕明, 内舘道正, 清水友治: "水潤滑環境下におけるステンレス鋼のトライボロジー特性に及ぼす水道水種類の影響"日本トライボロジー学会トライボロジー会議予稿集. 197-198 (2003)
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[Publications] 内舘道正, 岩渕明, 劉海波, 清水友治: "水潤滑環境下におけるトライボケミカル生成物のSEM観察およびEPMA分析"日本トライボロジー学会トライボロジー会議予稿集. 229-230 (2003)