2004 Fiscal Year Annual Research Report
シロイヌナズナを用いた自家不和合性反応過程を制御する遺伝子の正逆両遺伝学的解剖
Project/Area Number |
02J11524
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
高田 美信 岩手大学, 大学院・連合農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | アブラナ科植物 / 自家不和合性 / 花粉-柱頭情報伝達 / 一側性不和合性 / S-遺伝子座 |
Research Abstract |
本研究の遂行過程において見い出したS^<52>,S^<60>個体で生じる一側性不和合性は、B.rapaという同一種内で起こり、さらに従来のような和合性・不和合性系統間で生じるようなものではなく、柱頭側、花粉側両個体ともに自家不和合性系統で起きる現象であった。こうした点から、これまでに報告のない新規な一側性不和合性であることを明らかにした。この現象を解明することにより、受粉時の花粉と柱頭との情報伝達機構の解明に何らかの新しい知見を与えることができるであろうと考え、解析を進めた。 今年度は、柱頭側因子について遺伝学的解析を行った。S^<52>,S^<60>系統で、一側性不和合性を持つ個体と、持たない系統S^<28>(S-9j)との分離世代を作出しその表現型を確認したところ、F_1個体8個体はいずれも花粉側一側性不和合性を持つS^<40>の花粉に対して、不和合性を示した。F_2集団46個体では、和合性と不和合性の個体が分離してきたことから、この形質が遺伝的に制御されている現象であると考えた。そこで、F_2集団の遺伝分析をおこなったところ、この一側性不和合性の表現型の分離はS遺伝子型の分離とは一致しないことを明らかにし、柱頭側一側性不和合性表現型とS遺伝子座は、独立の遺伝子座によって制御されていることを明らかにした。さらに、F2分離世代の表現型分離比は、和合:不和合=1:3となったことから、柱頭側一側性不和合性が、優性の1遺伝子座によって支配されることが示唆された。 また、この新規な一側性不和合性現象に関する解説と、昨年度におこなった花粉側因子に関する遺伝学的解析の結果をまとめ、Sexual Plant Reproductionに発表し、同時に2004年に北京で開催された国際植物生殖学会(ICSPR)にて発表をおこなった。
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Research Products
(1 results)