2003 Fiscal Year Annual Research Report
「ビオガーデン」における資源循環型土壌の物理的評価に関する研究
Project/Area Number |
02J11530
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
武藤 由子 三重大学, 生物資源学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | ビオガーデン / 有機性資源 / 堆肥 / 土壌微生物 / 圧力条件 / 土壌水 / 化学ポテンシャル / 団粒 |
Research Abstract |
本年度は,土壌微生物の活動と土壌水のエネルギー状態の関係を調べるための実験を行い,得られた成果を論文および学会発表において公表した. 土壌微生物は土壌における有機物分解の担い手であり,地球上の物質循環の過程に深く関係している.近年の持続的循環型農業への関心の高まりを背景に有機性資材の施用が増加しており,土壌中における土壌微生物の活動と土壌の物理的性質との関係をより明らかにすることが求められている.本研究では本年度,土壌の水分含量・気相と液相の比・基質濃度が等しい土壌試料を用いて,異なるゲージ圧で培養した土壌のT-C減少量を測定した.減圧によって,土壌微生物の活動に関わる土壌水のエネルギー状態を制御できると考えられる.その結果,相対C減少量はゲージ圧が-20〜0kPaの範囲では減圧に伴って増加し,-60〜-20kPaでは減圧に伴って減少した.これは,減圧によって土壌水のエネルギー状態と酸素量が変化したことが土壌微生物の活動に影響したためと考えられる.また,相対C減少量のゲージ圧依存性は,団粒を粉砕した試料よりも団粒試料を用いた場合に強いことが示された.これは,団粒内の土壌微生物の分布状態によって減圧の影響が異なったことによると思われる.次年度は,減圧による酸素量の減少が相対減少量に与える影響を明らかにし,土壌微生物生物の活動と土壌水のエネルギー状態の関係をより詳細に調べる予定である.また,新しいエネルギー資源として注目され実用化が目指されているメタンハイドレートについて,土中資源の有効利用の視点からその形成機構を明らかにするために,ガラス粉体中のTHFクラスレートハイドレートの凍上現象を観察する実験を行った。
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[Publications] 武藤由子, 渡辺晋生, 新庄彬: "減圧が基質添加後の団粒の全炭素減少量に与える影響"土壌の物理性. (印刷中). (2004)
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[Publications] 渡辺晋生, 横川公亮, 武藤由子: "ガラス粉体中のTHFクラスレートハイドレートの凍上現象"土壌の物理性. (印刷中). (2004)