2003 Fiscal Year Annual Research Report
心血管疾患における蛋白質リン酸化相互調節機構の解明と新しい循環器病治療戦略の開発
Project/Area Number |
02J11534
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
暮石 泰子 三重大学, 医学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 血管新生 / 動脈硬化 / RhoA / 低分子量G蛋白質 / Rhoキナーゼ / 血管内皮 / 血管平滑筋 |
Research Abstract |
本研究では1.血管新生.2.動脈硬化に関わる心血管リモデリングにおける細胞内シグナル伝達機構の解明を目的として本年度は以下の項目を明らかにすることを試み下記に示す結果を得た。 1.血管新生シグナリングに関する研究 牛大動脈内皮細胞を自家調整し、1)マトリゲルを用いた血管新生能の変化と低分子量G蛋白質(RhoA,Rac,CDC42など)の活性変化との関係を解析した。血管新生のin vitroモデルであるマトリゲル状の管腔構造形成を誘導した内皮細胞においては低分子量G蛋白質RhoAが著明に活性化している。実際この管腔状構造はRhoAの阻害蛋白質であるTATC3の細胞内導入で阻害されることを明らかにした。また、この活性化RhoA下流シグナルには、平滑筋の場合とは異なり、Rhoキナーゼの活性化は関与せず、mDiaをはじめとするほかのRhoA作用分子が関与していることを明らかにした。 2.動脈硬化シグナリングに関する研究 ラット大動脈血管平滑筋細胞及び牛大動脈内皮細胞を自家調整し、炎症マーカーとして知られてきたC反応性蛋白質(CRP)のこれら血管構成細胞に対する直接動脈硬化作用を検討した。動脈硬化の指標としては、前年度の研究成果を元に、細胞内低分子量G蛋白質RhoAの活性缶をプルダウンアッセイ法にて評価したものを用いた。CRPは、血管平滑筋細胞及び内皮細胞に作用させると、30分以内には細胞内に取り込まれ、細胞内RhoAの活性化を引き起こすことが明らかとなった。またCRPを作用させた内皮細胞においては動脈硬化関連分子の一つであるPAI-1の発現が亢進し、これはRhoキナーゼ阻害剤であるY27632により一部拮抗されることが明らかになった。今後、CRPの細胞外から細胞内への生理的導入経路を明らかにする予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Seko T: "Activation of RhoA and inhibition of myosin phosphatase as important components in hypertension in vascular smooth muscle"Circ Res. 92・4. 411-418 (2003)
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[Publications] Skaletz-Rorowski A: "HMG-CoA reductase inhibitors promote cholesterol-dependent Akt/PKB translocation to membrane domains in endothelial cells"Cardiovascular Res.. 57・1. 253-264 (2003)