2002 Fiscal Year Annual Research Report
ベネズエラとコロンビアの比較小説研究から見た文学のアイデンティティ形成への寄与
Project/Area Number |
02J11582
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
寺尾 隆吉 宇都宮大学, 国際学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | コロンビア / ベネズエラ / 小説 / 文学史 / 文化的アイデンティティ / ラテンアメリカ文学 / 文学の受容 / 小説の発展 |
Research Abstract |
今年度は主として基本資料の収集に尽力した。コロンビア、ベネズエラ両国において、当地研究者、研究助手の助けを得て、大学図書館、公営の資料館等から入手困難な貴重な小説作品、研究資料を集めることができた。大半はすでに整理を終えており、今後の研究の資料的土台はほぼ固まったと言える。また、並行して学生へのアンケート、研究者、作家へのインタビューも相当量実施することができた。なかでもベネズエラの一流作家エドノディオ・キンテーロとのインタビューなどは雑誌などにも極めて少数しか出ておらず、今後の研究には貴重な資料となる。ベネズエラ、コロンビアの一流の研究者と多くの交流を持つことができたのも今後の研究には大きな意味がある。本研究に理解を示し、協力を申し出てくれる研究者も多く、彼らの示唆をえながら広い視点から今後の研究を進めることができよう。 基本資料の収集、整理に力をいれたため、本年は具体的な研究成果は少なかったものの、研究論文も一本完成することができた。これは、研究対象として重要な文学作品をコロンビア文学史のコンテクストに位置づけながら分析したものであり、今後の個別の作品分析のための一つの指針を示すことができたと言える。論文は3月末にコロンビア文学研究における最高の雑誌に受理されており、近々刊行年月日、巻号が伝えられる予定である。また、平成14年10月には、国際的学会組織ALFAにおいて、コロンビアの女流文学について研究発表をした。これまで見逃されがちだったコロンビアの女流作家二人を、20世紀のコロンビア小説の潮流のなかに位置づけて新たな視点からとらえなおしたもので、学会からも高い評価を受けた。こちらは平成15年度中に刊行されるはずであるが、詳細は未定である。
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