2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J11591
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
関川 宗久 宇都宮大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | カオス / 同期引き込み領域 / 分岐現象 |
Research Abstract |
通信、ネットワークなど、あらゆるところでいわゆる「同期現象」は利用されている。同期現象とは、ある周波数で発振している発振器にω_0の周波数の外力を印加すると、発振器の周波数がω_0に引き込まれる現象のことである。この性質を利用して受信波から搬送波を再生し、この再生信号を用いて、例えばテレビの画像や音声が復調される。受信波から搬送波を再生するのに位相同期ループ(PLL:Phase Locked Loop)が用いられるが、同期引き込み領域が広い方が好ましく、その同期引き込み領域を拡大するため、これまで様々な研究が行なわれてきた。 本研究は、周波数がω_0の整数倍の微少外力を印抑し、発振器を細かくゆすってやると同期引き込み領域が大きく拡大することを明らかにしようとするものである。 chaos現象の発生は、位相同期ループ等の工学系においては、しばしば好ましくない現象である。そのようなchaosを抑制するために、いくつかのchaos制御法が提案されている。申請者は、分岐理論の立場からtaming chaos方式の研究を行っているうち、微小高調波外乱で系を摂動すると同期引き込み領域が広がることに気がついた。taming chaos方式とは、微小高調波外力を印加することによりchaosの発生を抑制する方法である。この方法は物理学の分野で提案されたが、どのような理由でchaosを制御できるのか明らかでなかった。本研究では、この極めて興味深い現象のメカニズムを理論的に明らかにすることを目的としている。 本研究では、第2の微小外力を含む区分線形強制レイリー方程式の分岐現象を調べる。まずはじめに、分岐ダイアグラムのおおよその構造を把握するため、同方程式のリアプノフ指数を調べる。また、同方程式の分岐図を作成するため、第一変分方程式、第二変分方程式をmathematicaを用いて計算する。第2の微小外力を含む区分線形強制レイリー方程式における分岐集合を求めるためのプログラムを作成し、高調波引き込み領域の分岐の構造を調べる。また、分岐集合の分数調波引き込み領域の分岐の構造を調べ、微小高調波外乱の印加による影響の全容を明らかにする。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] N.Inaba, M.Sekikawa, T.Endo, T.Tsubouchi: "Revealing the Trick of Taming chaos by Weak Harmonic Perturbations"International Journal of Bifurcation and Chaos. 13・10. 2905-2915 (2003)
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[Publications] 関川 宗久, 稲葉 直彦, 吉永 哲哉, 川上 博: "超微小な周期外力の印加によるあひる解の崩壊とカオス"電子情報通信学会論文誌(A). J87-A・2. 199-207 (2004)
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[Publications] 関川 宗久, 三好 徹哉, 稲葉 直彦, 西尾 義文: "対称性を持つある共生回路に発生する周期窓"電子情報通信学会論文誌(A). (採録決定).