2002 Fiscal Year Annual Research Report
オオハマニンニク染色体添加コムギ系統の育成、評価と放射線雑種法による物理地図の作成
Project/Area Number |
02J11673
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
岸井 正浩 横浜市立大学, 木原生物学研究所, 特別研究員(DC2)
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Keywords | コムギ / オオハマニンニク / 染色体添加系統 / 同祖群 / 出穂日 / 製パン性 / 赤かび病 / 耐塩性 |
Research Abstract |
本研究の目的は、極めてストレス耐性の強いオオハマニンニクを用いてその変異をコムギに染色体工学的に導入することが目的である。本年度は、オオハマニンニク染色体添加系統の評価を行った。 (1)コムギに添加されたオオハマニンニク染色体の同祖群の決定 オオハマニンニク染色体添加系統を用いてオオハマニンニク染色体の同祖群を調査した。まず、オオハマニンニクとコムギ間で多型を示す42のRFLPマーカーを用いて調査したところ、オオハマニンニクA染色体、1染色体は第2同祖群に、E染色体、F染色体は第4同祖群に、C染色体、I染色体は第5同祖群に、k染色体は第6同祖群に属していることが明らかになり、また、H染色体、J染色体は第1同祖群、第3同祖群、第7同祖群から、n染色体は第3同祖群、第7同祖群からなることが明らかになった。 (2)オオハマニンニク染色体添加系統の形質調査 平成14年度のオオハマニンニク染色体添加系統の農業的形質(出穂日、分けつ数、種子1000粒重等)を調査した。特筆すべき形質として、H染色体添加系統では出穂日が親系統より9日早くなり、1染色体添加系統では種子1000粒重が10%ほど増加していた。 また、添加系統の製パン性を調査するためSDS沈降試験を行ったところ、J染色体添加系統は親系統のものより高い製パン性を示した。種子貯蔵タンパク質の調査を行ったところ、オオハマニンニクJ染色体には、製パン性に関係している新規glutenin遺伝子が座上していることが明らかになった。 さらに、添加系統の環境ストレス抵抗性(耐塩性、赤かび病抵抗性)の調査を行った。なお、赤かび病抵抗性試験は、独立行政法人国際農林水産業研究センターの坂研究員と共同で行った。添加系統において赤かび病抵抗性の向上はみられなかったが、耐塩性についてはJ染色体とI染色体添加系統で若干の向上がみられた。
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