2004 Fiscal Year Annual Research Report
グループホームにおける痴呆性高齢者の生活行動の変化に関する縦断的研究
Project/Area Number |
02J11840
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Research Institution | Kawasaki University of Medical Welfare |
Principal Investigator |
大川 美佐子 川崎医療福祉大学, 医療福祉学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 痴呆性高齢者 / グループホーム / 住環境 / 心拍反応 |
Research Abstract |
1.デイケアにおける研究 デイケアを利用している痴呆性高齢者の心拍反応の解析を行った結果、痴呆の進行にともない、交感神経機能の有意な低下がみられた。また、痴呆軽度群と痴呆重度群に区分し、主要な行動における心拍反応を比較した。その結果、痴呆軽度群と比べ痴呆重度群は、全般的に交感神経機能が低く、特に「介護者との会話」、「レクリエーション」、「テレビをみている」における交感神経機能が有意に低下していた。 2.グループホームにおける研究 3つのグループホームに入居している痴呆性高齢者の行動観察と心拍反応に関する追跡調査を行った結果、痴呆が中等度の対象者は、「居室で過ごす」において交感神経優位を示した。住環境が良好で痴呆が軽度の対象者は、「居室で過ごす」において副交感神経優位を示し、一方、住環境が悪く痴呆が軽度の対象者は、「居室で過ごす」において交感神経優位を示した。また、痴呆が軽度で攻撃的言動がみられなかった対象者は、「入居者との会話」で副交感神経優位を示し、「介護者との会話」で交感神経優位を示した。痴呆が中等度で攻撃的言動がみられた対象者は、「入居者との会話」及び「介護者との会話」で交感神経優位を示した。一方、痴呆が中等度で攻撃的言動がみられなかった対象者は、「入居者との会話」で副交感神経優位を示し、痴呆の進行にともない「介護者との会話」で副交感神経優位を示した。「調理活動」に関して、痴呆が軽度であり家事能力が高い対象者は、副交感神経優位を示し、痴呆が中等度である対象者は、交感神経優位を示した。 以上の結果から、痴呆の程度や攻撃的言動の程度によって、相反する心拍反応が観察された。このことから、痴呆性高齢者に対する環境整備や介護方法の検討を行う上で、行動観察と同時に生理学的指標である心拍反応を用いることは、評価指標として有用であると考えられる。
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Research Products
(1 results)