Research Abstract |
1.ホウレンソウケナガコナダニの餌資源および高温耐性 農業生態系における本種の餌資源を明らかにするために,農林畜産廃物(牛糞オガクズ,ワラ),有機質肥料(菜種油粕),堆肥(牛糞,籾殻,ワラ),糸状菌(Fusarium oxysporum f,sp.spinaciae,Pythium aphanidermatum,Rhizoctonia solani),野菜(キュウリ,コマツナ,ホウレンソウ,チンゲンサイ,トマト)を餌として産卵数を比較したところ,各餌資源間で産卵数は大きく異なり,菜種油粕,糸状菌,野菜を餌としたときに多い傾向があった.一方,高温条件下における生存能力を調べたところ,成虫は40℃-24時間,45℃-3時間,50℃-1時間処理でそれぞれ全個体が死亡した.卵の高温に対する耐性は成虫に比べて高かったが,成虫同様40℃-24時間,45℃-3時間,50℃-1時間処理すると孵化しなくなった.ホウレンソウケナガコナダニの耐性はロビンネダニと同程度で,近縁のケナガコナダニやオンシツケナガコナダニよりも高温に弱かった. 2.野菜類を加害するコナダニ類のモニタリング法 コナダニ類の代表的な野菜害虫であるホウレンソウケナガコナダニとロビンネダニを対象として,乾燥酵母あるいはオニオンパウダーを誘引餌とした新型トラップによるモニタリング法を開発した.袋に入れた土壌に一定数のダニを接種し,そこに湿らせた濾紙と誘引餌を材料としたトラップを入れて3日間静置したところ,乾燥酵母を餌としたトラップでホウレンソウケナガコナダニは約90%捕獲できた.ロビンネダニの場合,いずれの餌でも70%前後捕獲できた.つぎに野外個体群を対象に本モニタリング法の実用性を試したところ,ホウレンソウケナガコナダニは従来法であるツルグレン法よりも有意に多く捕獲され,ロビンネダニはツルグレン法と同程度捕獲された.
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