2004 Fiscal Year Annual Research Report
ミカンキジラミによるカンキツグリーニング病媒介機構に関する研究
Project/Area Number |
02J20004
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Research Institution | 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構 |
Principal Investigator |
大西 純 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構, 果樹研究所・生産環境部, 特別研究員(PD)
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Keywords | ミカンキジラミ / カンキツグリーニング病 / 虫媒機構 / 昆虫伝搬 / 細菌病 / 植物病理学 |
Research Abstract |
昨年度までに、実験的にカンキツグリーニング(Citrus Greening:CG)細菌を保毒させた虫を得る「獲得吸汁法」を確立しており、高率に保毒した個体群を安全に得ることが可能となった。この方法により供給された保毒虫を用いて、今年度は(1)CG細菌の虫体内における増殖性、(2)in situ hybhdization(ISH)法によるCG細菌の局在部位の解析、(3)CG細菌とキジラミ体内共生細菌との局在部位の相互比較を行った。 (1)CG細菌の虫体内における増殖性 吸汁行動中に変化するCG細菌濃度をReal-time PCR法により定量解析した。最大細菌濃度とその到時間を幼虫と成虫で比較した結果、最大細菌濃度は同程度だか幼虫は短時間に急速に吸汁し、細菌を獲得していることが判明した。一方で、吸汁後に健全植物体上で生育維持し、吸汁後の濃度変化を解析した。成虫では吸汁後から徐々に濃度が低下した。幼虫では羽化成虫後に増加し、細菌が定着・増殖して永続的な伝搬を可能にしていることが示唆された。 (2)ISH法によるCG細菌の局在部位の解析 吸汁中に進入したCG細菌は、虫体内に定着し永続的に維持されることより、ISH法によりその局在部位の検出を試みた。保毒成虫個体を観察した結果、副唾液腺組織にのみ明瞭なシグナルが認められたが、反応の特異性は低かった。同組織への局在性が示唆されるが、本法の更なる改良により最終的な確認が必要である。 (3)CG細菌とキジラミ共生細菌との局在部位 共生細菌は腹部の菌細胞という特異な構造物中とその周辺部に局在し、保毒虫、健全虫ともに同じ局在性を示し菌細胞数にも大きな違いが見られなかった。病原細菌と共生細菌との直接的な相互作用はないように思われるが、CG細菌の定着・増殖によるキジラミへの生理的変化など、間接的な影響を今後詳細に検討する必要があると思われる。
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