2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J20009
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
寺見 浩美 国立循環器病センター研究所, バイオサイエンス部, 特別研究員(PD)
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Keywords | ES細胞 / 心筋分化 / Wnt |
Research Abstract |
研究代表者はマウスES細胞を用いた心筋細胞への分子制御機構の解明をめざして、ES細胞より分化させた心筋細胞を特異的に可視化して単離する系を確立し、この系を用いて心筋への分化や形態形成に関わる因子間のネットワークの解析を行なっている。本年度は、分泌性シグナル分子Wntメンバーの一つであるWnt-11の心筋分化誘導における役割について解析した。Wnt-11はトリやカエル胚において、心筋分化誘導に重要な役割を果たしていることが示唆されているほか、マウスでは胎生初期に心臓領域特異的に発現し、胚性腫瘍細胞株P19においてもnon-canonical Wnt経路を介した心筋細胞への分化誘導に重要な役割を果たしていることが示唆されているが、ES細胞の心筋分化誘導における役割は不明のままである。そこで、ES細胞の胚葉体形成を介した心筋分化誘導過程におけるWnt-11の発現および機能について検討した。Real Time RT-PCR法によるWnt-11 mRNA発現量解析では、ES細胞から心筋細胞への分化に伴って、転写産物量の増加が観察された。一方、レチノイン酸処理により、心筋分化を抑制した条件下ではこの増加は観察されなかった。ついで、Wnt-11含有培養上清を調整し、分化誘導培地に添加したところ、Wnt-11含有培養上清添加により、心筋マーカーであるNkx2.5遺伝子の発現が増加した。さらに、Nkx2.5-GFPノックインES細胞の胚葉体にWnt-11含有培養上清を添加することにより、GFP陽性細胞の割合が増加することが明らかになった。以上の結果より、Wnt-11はES細胞の心筋分化に大きな影響を与える因子であり、重要な役割を果たしている可能性が考えられた。
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