2004 Fiscal Year Annual Research Report
脳神経細胞膜機能に及ぼす食品成分の影響に関する研究
Project/Area Number |
02J20016
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Research Institution | National Food Research Institute |
Principal Investigator |
白井 展也 独立行政法人食品総合研究所, 食品機能部, 特別研究員(PD)
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Keywords | DHA / HMG-CoA reductase / brain / microsome / age / cholesterol |
Research Abstract |
脳神経細胞膜機能に及ぼす食品成分の影響を明らかにすることは、アルツハイマー病を代表とする老人性認知症の予防法を確立する上で重要なことである。そこで、本研究では、脳神経細胞内における脂質、タンパク質および糖脂質の変動やその代謝に対する食品成分の影響について解明する。 平成16年度もまた昨年度に引き続き、これまでの研究で脳機能改善効果のあったDHAを中心に、研究を行った。前年度は若齢(5ヶ月)のマウスにおける、脳マイクロソーム内コレステロールに関連する酵素、すなわちHMG-CoAレダクターゼの活性について測定を行い、DHAが脳内のコレステロール合成を抑制するデータをえた。本年は老齢(15ヶ月)マウスにDHAを含む飼料を3ヶ月間与え、脳マイクロソームの同酵素の活性に与えるDHAの影響について検討をした。 脳マイクロソーム内のHMG-CoAレダクターゼの活性は、DHA摂取群で活性化する傾向が示された。一方、従来の報告同様に、肝臓マイクロソーム内のHMG-CoAレダクターゼはDHA摂取群で活性が低下する傾向が示された。脳内のコレステロール含量はDHA摂取群で有意に高くなっていた。これらの結果から、これまでに学習能改善効果が報告されるDHAは、老齢の脳におけるコレステロール代謝に影響を与え、その結果、脳中のコレステロール含量に影響しているものと考えられた。 老齢と若齢とで、DHAが脳におけるコレステロール代謝に与える影響が異なった機構は不明である。しかしながら、DHA摂取によるこの活性の変化が、脳機能に何らかの影響を与えているものと推測された。
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