2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J20019
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
富永 基樹 独立行政法人通信総合研究所, 基礎先端部門・生体物性グループ, 特別研究員(PD)
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Keywords | 原形質流動 / ミオシン / 単一分子解析 / カルシウム制御 |
Research Abstract |
我々は、原形質流動に関与するミオシンXIをタバコ培養細胞BY-2から精製し、これが1分子のATP分解によって、35nmステップでアクチンフィラメント上をプロセッシブ(連続的)歩けるタンパク質モーターであることを明らかにした(EMBO J.2003 vol.22pp.1263-1272)。 原形質流動は細胞内Ca^<2+>の上昇によって阻害されることが知られているが、分子レベルでの制御機構に関してはほとんど分かっていない。本研究では、原形質流動に関与するミオシンの分子レベルでのCa^<2+>制御機構をin vitroで解析した。in vitro運動アッセイにおいて、ミオシンをpCa5.5以上の高濃度のCa^<2+>で処理をすると、アクチンフィラメントから解離した。この時、ミオシンから軽鎖であるカルモジュリンが解離していた。ミオシンの表面密度を上げる、あるいはATP濃度を下げると、高濃度Ca^<2+>存在下でも滑り運動が観察された。以上の結果は、Ca^<2+>によるネック部位の変化が、ミオシンXIのプロセッシブ運動を抑制しことを示している。この時の、ネック部位の変化を解析するために、短いアクチンフィラメントをミオシン1分子にrigor結合させて、ブラウン運動によるアクチンフィラメントの回転からミオシン分子のねじれ弾性を見積もった。その結果、アクチンフィラメントの回転はpCa5.5以下では抑制された。このことから、軽鎖カルモジュリンが外れることにより、軽鎖結合部位が折りたたまれて短くなり、硬くなったと考えられる。以上より、ネック部位の軽鎖結合部位の弾性変化がミオシンのプロセッシブな運動を抑制したと考えられる。 カルシウムによるネック部位の構造変化が、ミオシンのプロセッシビティーに影響を与えるという、非常に興味深い結果が得られたことから、現在、論文投稿準備中。
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