2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J20019
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
富永 基樹 情報通信研究機構, 生体物性グループ, 特別研究員(PD)
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Keywords | 原型質流動 / ミオシン / 1分子解析 / カルシウム |
Research Abstract |
ミオシンXIは、Ca^<2+>により運動が阻害される。ミオシンをpCa5.5以上の高濃度のCa^<2+>で処理をすると、軽鎖であるカルモジュリンが解離し、アクチンフィラメントとの相互作用が低下した。この時、ヘッドのATPase活性にほとんど変化は見られなかった。高濃度Ca^<2+>存在下(pCa 4)でも、アクチンに相互作用できるミオシンの数を増やすか、ATP濃度を下げることで、アクチンはミオシン上を連続的に運動できるようになった。これらの結果から、Ca^<2+>による軽鎖CaMの解離が、ミオシンXIのプロセッシブ運動能を低下させることが示唆された。Rigor結合させたアクチンの熱運動による回転からミオシン1分子のねじれ弾性を見積ったところ、Ca^<2+>処理による増加が見られた。この結果は、CaMが解離したネックが短くなることを示唆している。電子顕微鏡による観察から、ミオシンのネック部位がCa^<2+>存在下では約30%短くなっていることが明らかとなった。光ピンセットによる1分子計測より、ミオシンはpCa4でもプロセッシブ運動を示したが、その平均発生力は小さくなり、ステップサイズも24nmに減少していた。また、このステップサイズは負荷依存性があり、低負荷(0-0.5 pN)では27nm、高負荷(0.5-1 pN)では22nmであった。一方、未処理のミオシンXIの35nmステップには負荷依存性は見られなかった。以上より、軽鎖カルモジュリンは、ミオシンに結合することによりネック部位に弾性と長さを与え、大きな歩幅でのプロセッシブ運動に重要な役割を果たしていることが明らかとなった。 高等植物ミオシンXIの速度発生やプロセッシプ運動の機能をより詳細に解析するために、ミオシンXIの発現系を確立し、分子生物学的、構造学的解析を行う。このためにタバコ培養細胞のcDNAライブラリーを作製した。
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