2003 Fiscal Year Annual Research Report
パキシリン結合タンパク質PAG1細胞運動における役割
Project/Area Number |
02J20021
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Research Institution | Osaka Bioscience Institute |
Principal Investigator |
真崎 雄一 (財)大阪バイオサイエンス研究所, 分子生物学部門, 特別研究員(PD)
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Keywords | 細胞運動 / 細胞骨格 / 細胞内輸送 |
Research Abstract |
細胞運動は、様々な生命現象の基礎を担っており、発生過程や形態形成過程などの正常な生命現象、あるいは癌細胞の浸潤過程などの病気の過程を理解するうえでも重要な事象である。細胞が運動する際には、アクチン細胞骨格の再編、細胞膜の再編、細胞内輸送などの事象が観察される。これら各々の事象は、近年の研究によって明らかになりつつあるが、細胞が運動する際、これらの事象がどのようにして統御されているかについては、ほとんど解明されていない。これまでの研究の結果から、PAG1が細胞運動に深く関与しており、アクチン細胞骨格の再編、細胞内輸送、細胞膜の再編をつなぐ分子の一つではないかと考え、研究を進めている。本研究では、PAG1がアクチン細胞骨格の再編、細胞内輸送、細胞膜の再編にいかに関わり、これらの事象をつなぐ分子であるかを検証すると共にPAG1の生体内における役割についても解析をおこない、細胞運動の基本メカニズムの解明の一端を担うことを研究の目的としている。 そこで、本目的を遂行するにあたり、本年度に以下のことを行った。 1.PAG1ノックアウトマウスの作成 PAG1の生体内における役割を解析するために、本研究ではPAG1ノックアウトマウスを作成することを計画している(理化学研究所との共同研究)。そこで本年度は、まず昨年度に作成したPAG1のノックアウトベクターをES細胞に導入し、相同組換えを起こしたES細胞を得た。さらにそのES細胞からキメラマウスを作成し、作成したキメラマウスを交配させることによってPAG1のヘテロ変異マウスを得た。 2.RNAi(siRNA)を用いたPAG1の解析 昨年度HeLa細胞において確立したPAG1のsiRNAの系を用いて、PAG1の細胞運動における役割を解析するために、解析に適する細胞及びその実験系の探索を行った。その結果、PAG1と構造のよく似たタンパク質と比較して、PAG1が非常に多く、また細胞が運動を起こす際には、細胞の運動する方向の先端にPAG1が局在し、さらにはsiRNAが良く効く細胞系を見出した。
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