2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J20028
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
伊勢村 武久 農業生物資源研究所, 遺伝資源研究グループ, 特別研究員(PD)
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Keywords | アズキ / SSRマーカー / 分子地図 / 栽培化関連形質 / QTL解析 |
Research Abstract |
アズキ(Vigna angularis)とその近縁野生種であるV.nepalensisとの交雑に由来するBC1F1集団を用いて、アズキの基本染色体数と同じ11の連鎖群に205個のSSR、93個のRFLPおよび187個のAFLPマーカーが座乗する全長832.1cMの分子地図を作成した。また、同じ交雑組み合せに由来するF2集団に関しても、BC1F1地図の情報をもとに、各連鎖群ともゲノムの全領域をカバーできるように選んだSSRマーカーを用いて分子地図を作成した。両地図におけるマーカー順序は完全に一致し、QTL解析を行う上で必要な信頼性の高い地図ができた。 これら2つの集団において作成した分子地図を利用して、種子の大きさや休眠性、茎の太さや長さ、胚軸色、裂莢性など栽培化の過程において著しく変化した形質(栽培化関連形質.)に着目し、それらのQTL解析を行った。 その結果、栽培環境や集団の違いがあったにもかかわらず、種子や莢に関する形質を中心に、両集団に共通のQTLが数多く検出され、これらのQTLは再現性のある信頼度の高いものであると考えられた。また、各連鎖群におけるQTLの分布には著しい差異が認められ、第1,7および第9連鎖群において多数のQTLが検出された。第1連鎖群には、栽培種のアレルが種子、茎、莢などの器官の巨大化や休眠性の消失に関与するQTLがまとまって検出される領域が存在することを明らかにした。第7および第9連鎖群には、栽培種のアレルが茎や節間を短くして草型を有限伸育型にしたり、茎の太さや種子を大きくしたりする効果を持つQTLが多く存在していた。また、裂莢性および胚軸色は単一の遺伝子により支配されており、それぞれ第7および第4連鎖群に座乗することを明らかにした。 以上のことから、アズキの栽培化過程における変化には、第1、4、7および第9連鎖群のゲノム領域が大きく関与したものと考えられた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 伊勢村武久, Ouk K.Han, 加賀秋人, 友岡憲彦, Duncan A.Vaughan: "SSR、RFLPおよびAFLPマーカーによるアズキ連鎖地図の作成"育種学研究. 第5巻別刷2号. 81 (2003)
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[Publications] 伊勢村武久, 加賀秋人, Ouk K.Han, 小西左江子, 安藤露, 友岡憲彦, Duncan A.Vaughan: "アズキの栽培化関連形質に関するQTL解析"育種学研究. 第6巻別刷1号. 225 (2004)