2003 Fiscal Year Annual Research Report
植物抵抗性遺伝子の多様化機構の解明と進化工学的応用
Project/Area Number |
02J20038
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
池田 健一 農業生物資源研究所, 生理機能研究グループ・川崎上席研究官室, 特別研究員(PD)
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Keywords | 植物抵抗性遺伝子 / 進化分子工学 / ユニットシャッフリング / Two-Hybrid法 |
Research Abstract |
植物抵抗性遺伝子はタンパク質相互作用の機能を持つと考えられるロイシンリッチリピート(LRR)領域を介して病原体を感知しているものと考えられている。本研究課題は、既に当研究室において単離されたイネいもち病抵抗性遺伝子Pibを出発点とし、LRR領域を進化工学的に改変して新たな病原体を認識できる植物抵抗性遺伝子の作出を試みるものである。 まず、LRR領域を進化工学的に改変させる手法の確立を試みた。LRR領域の反復単位であるロイシン残基を境界として区切り、各ユニットを個別に増幅できるプライマーを設計してPCR増幅した。また、5'側と3'側のプライマーには突出末端が共通であるが認識配列が異なる制限酵素認識配列を追加した。制限酵素処理したPCR断片をゲル回収することにより、リピート単位であるロイシン残基部分が"のりしろ"となった遺伝子断片を得た。この遺伝子断片を混合してライゲーション反応する際に制限酵素を同時処理することで、遺伝子の方向性が保たれた状態で任意の組み合わせでユニット単位が結合することが期待される。この過程において得られた「ユニットシャッフル」クローンをランダムにシークエンスした結果、各ユニットがランダムに取り込まれた新規塩基配列が作られていることが確認された。 続いて、ターゲットとなる植物病原体由来タンパク質の決定とその遺伝子コンストラクトの作製を行った。これまでに植物に抵抗性反応を誘導するエリシター活性が報告されておらず、しかし病原力を発揮するためには必須なタンパク質を認識できればより持続性のある植物抵抗性遺伝子として利用可能と考えられた。今回はイネ萎縮ウイルスの構成タンパク質とイネいもち病菌のハイドロフォービン遺伝子を選択した。これら遺伝子をバクテリアTwo-Hybridシステム用のベイト用プラスミドに読み枠を保持したままクローニングした。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Ikeda K, Nakamura H, Matsumoto N: "Mycelial incompatibility operative in pairings between single basidiospore isolates of Helicobasidium mompa."Mycological Research. 107. 847-853 (2003)
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[Publications] Ikeda K, Nakamura H, Matsumoto N: "Hypovirulent strain of the violet root rot fungus Helicobasidium mompa."Journal of General Plant Pathology. 69. 385-390 (2003)
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[Publications] Nakamura H, Ikeda K: "Screening for hypovirulence factor in violet and white root rot fungi."Plant Protection. 58. 50-53 (2004)