2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J20063
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Research Institution | National Institute for Longevity Sciences,NCGG |
Principal Investigator |
浅井 あづさ (氏家 あづさ) 国立長寿医療センター, 老化機構研究部, 特別研究員(PD)
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Keywords | テロメラーゼ / TERT / アレルギー / マスト細胞 |
Research Abstract |
最近の研究から免疫系の細胞においてテロメラーゼ活性が認められ、免疫機能に何らかの影響を与えていることが指摘されている。私は以前よりテロメラーゼ欠損マウスを用いて免疫系におけるテロメラーゼの機能解析を進めており、これまでにTERT欠損マウスのIgE依存性全身性アナフィラキシー反応が減弱することを見出している。これに関して今回詳細な検討を行ったので報告する。 I型アレルギーに分類されるアナフィラキシー反応のエフェクター細胞であるマスト細胞の分化誘導時におけるテロメラーゼ活性は非常に高い活性を示し、マスト細胞とテロメラーゼの関連が示唆された。そこでBMMC(Bone Marrow Mast Cell)の分化誘導を行ったところ、TERT欠損マウスのIL-3あるいはSCF(Stem Cell Factor)によるBMMCの分化誘導能が著しく低下していることが明らかとなった。またIL-3非存在下あるいはデキサメタゾン存在下でBMMCを培養しアポトーシス誘導を行ったところ、TERT欠損BMMCの方が野生型BMMCよりもアポトーシスになりやすい傾向があることがわかった。さらに細胞増殖能の比較検討を行ったところ、TERT欠損のBMMCの細胞増殖能が著しく低下していることが示された。TERT欠損BMMCは野生型BMMCに比較して、細胞が巨大化しており、老化関連βガラクトシダーゼの発現が強く認められ、野生型BMMCより老化細胞様の形態を示した。BMMCの機能に関して脱顆粒反応やc-kitあるいはFcεRIの発現に差は認められなかった。生体内のマスト細胞数はTERT欠損マウスで減少していた。以上のことから、TERT欠損マウスで認められたIgE依存性全身性アナフィラキシーの減弱は生体内でのマスト細胞の分化や細胞増殖の欠如によるものであることが強く示唆された(J.Leuko.Biol.,2007. Aug 1)。
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