2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J20063
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Research Institution | National Institute for Longevity Sciences,NCGG |
Principal Investigator |
浅井 あづさ (氏家 あづさ) 国立長寿医療センター, 老化機構研究部, 特別研究員(PD)
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Keywords | アレルギー / テロメラーゼ / マスト細胞 |
Research Abstract |
今回、I型アレルギーに分類されるアナフィラキシー反応およびその主要なエフェクター細胞であるマスト細胞におけるTERTの機能について詳細な解析を行ったので報告する。 IgE依存性全身性アナフィラキシーの誘導を行ったところ、野生型マウスに比較してTERT欠損マウスにおいてアナフィラキシー反応の減弱が観察された。また、野性型マウスのアナフィラキシー反応はテロメラーゼ阻害剤の前投与により減弱した。これらの結果から、テロメラーゼがアナフィラキシー反応に影響を与えていることが明らかとなった。次に、マスト細胞の機能について比較検討を行った。骨髄細胞からのIL-3依存性マスト細胞の誘導においてTERT欠損マウスの細胞数が著しく減少しており、SCF依存性マスト細胞を誘導したとき、TERT欠損マウスの骨髄細胞は3週で死滅した。そこでIL-3あるいはSCFに対する増殖応答について検討を行ったところ、いずれの場合においてもTERT欠損マウスのマスト細胞の増殖応答が野生型マウスの場合に比べて非常に低い反応を示した。生体内でのマスト細胞の数についての検討を行ったところ、耳の皮下に存在するマスト細胞数がTERT欠損マウスで優位に減少していることが観察された。このことからTERT欠損で見られたアナフィラキシー反応の減弱は、生体内でのマスト細胞の増殖低下の結果である可能性が示唆された。脱顆粒反応を比較したところ、顕著な差は認められなかった。またアナフィラキシー反応中の血中ヒスタミンレベルにおいても優位な差は認められなかった。マスト細胞上のc-kitとFcεRIの細胞表面抗原の発現は同じであった。以上の結果から、テロメラーゼはマスト細胞の機能には特に影響を与えていないが、マスト細胞の増殖に関して非常に重要であることが明らかとなり、さらにはIgE依存性アナフィラキシー反応に影響を与えていることが明らかとなった。
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