2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J20065
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Research Institution | National Institute for Longevity Sciences,NCGG |
Principal Investigator |
日比 陽子 (古川 陽子) 国立長寿医療センター, 老年病研究部, 特別研究員(PD)
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Keywords | フォークヘッド型転写因子 / FOXO / Akt / 酸化ストレス / 筋萎縮 / 筋芽細胞株C2C12 / MuRF1 |
Research Abstract |
線虫の長寿制御遺伝子DAF-16は種々のストレスへの抵抗性を増大させることが明らかとなりつつある。私はこれまでに、DAF-16の哺乳類ホモログであるFOXOファミリー(FOXO1,FOXO3a,FOXO4)が酸化ストレスにより活性化され細胞周期停止・DNA修復と関わるGADD45遺伝子の発現を促進することで細胞を保護していることを示してきた。 今年度は酸化ストレスからFOXO活性化に至るシグナル伝達経路を明らかにすることを目的として研究を進めた。FOXOは通常Aktによるリン酸化を受けており、exportin1(CRM1)や14-3-3と結合することによって核排出され細胞質に局在している。私たちはFoxO3およびFoxO4とEGFPとの融合蛋白質(FoxO3-,FoxO4-EGFP)を作成し、この遺伝子についてNIH3T3細胞における安定発現株を作成した。この細胞内でFoxO-EGFPは通常培養時に細胞質に存在したが、H2O2処理後30分ですみやかに核内に局在するようになった。また免疫沈降からFoxOと14-3-3との結合もH2O2処理によって抑制されることが明らかになった。CRM1をLeptomycin Bで阻害した場合もFoxOは核局在するが、酸化ストレスによるFoxOの核局在はCRM1の阻害とは異なる経路で起こっているようである。現在その機構について検討中である。 一方、私は骨格筋におけるFOXOの役割についても追究した。骨格筋組織は炎症時に筋萎縮を起こすことが知られており、最近、酸化ストレスによるMuRF1蛋白質の転写誘導が筋委縮をもたらすことが報告された。筋細胞は分化とともにFOXO4を発現するようになる。また前回の研究から酸化ストレスによるFOXOの活性化が見出されたことから、酸化ストレスによって活性化されたFOXO4が筋委縮に関わるのではないかと考えた。そこでmyotubeを形成させた筋芽細胞株C2C12細胞に常活性型FoxO4(FoxO4-TM)を発現させたところmyotubeの委縮が観察された。このときFoxO4依存的にMuRF1の転写が増大することがノーザンハイブリダイゼイションで確認された。これらのことから酸化ストレスを受けた筋細胞ではFOXOが活性化してMuRF1を転写し、筋繊維の委縮を誘導していると考えられる。(投稿準備中)
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