2004 Fiscal Year Annual Research Report
線状ゲノム維持におけるATM/ATRスーパーファミリーの多面的機能の解析
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02J20066
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Research Institution | National Institute for Longevity Sciences,NCGG |
Principal Investigator |
高田 英基 国立長寿医療センター, (研究所)・老年病研究部, 特別研究員(PD)
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Keywords | テロメアインテグリティ / クロマチン免疫沈降 / Mec1 / Tel1 / テロメア関連タンパク質 / MRX複合体 / テロメラーゼ |
Research Abstract |
真核生物染色体正常末端(テロメア)恒常性維持におけるATM/ATRの機能を解明すべく、出芽酵母を用いたテロメア恒常性変異株の構築、それらの因子とATM/ATRとの関係について主にクロマチン免疫沈降を用いた解析をおこなった。 1.同一細胞内における複数のタンパク質の発現系、定量系の確立 これまでの研究はテロメア代謝に関連のあるタンパク質をそれぞれ別の細胞でエピトープタグを付与し、それぞれの挙動からテロメアとそれらのタンパク質の全体像を類推しようというものであったが、この方法ではタグが付与された結果タンパク質の性質が変化しその結果がデータに影響していることを否定できない。そこで我々は昨年までに同一細胞内で複数種類のタンパク質のエピトープタギングコンストラクトを発現する株を構築した。この手法を用いタギングするタンパク質の組み合わせによって様々なタンパク質間の相互作用を網羅的に解析可能となった。さらにこの細胞に様々なテロメア代謝異常を導入することによりテロメア関連遺伝子間のネットワークの詳細が解析可能となった。 2.テロメア領域の特異的かつ定量的な増幅条件の確立 テロメア領域は複数の染色体間で高い相同性を示すため、クロマチン免疫沈降後のサンプルにおいて特定のテロメアの濃縮効率を定量化することが困難であった。そのため他グループによる従来の研究は人工的に構築したテロメア領域を用いた実験系が主流であった。そこで我々は、内在性の複数のテロメア領域を同時にかつ特異的に定量する条件を確立した。これにより内在のテロメアとタンパク質との結合の特異性、その挙動を詳細に検討することが可能となった。 以上の手法をもとに、我々は世界で初めてTel1、Mec1両タンパク質がin vivoでテロメアに結合することを示し、またこれらの結合関係が細胞周期依存的かつ排他的な関係にあることを観察した(Mol.Cell 2004)。さらにMec1のテロメア結合がMRX複合体依存的なテロメアクロマチン構造の変換に依存する、すなわちテロメア末端はDNA二本鎖切断末端と同様にDNA損傷部位として認識されるものの、Mec1の結合によりテロメア関連タンパク質を特異的に安定化することでテロメア末端を損傷末端と的確に区別されているという新知見を得た(Mol.Cell 2005)。
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Research Products
(3 results)