2004 Fiscal Year Annual Research Report
安全で高効率長期遺伝子発現を可能とするアデノ/EBハイブリッドベクターの開発
Project/Area Number |
02J20067
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
細野 哲司 国立医薬品食品衛生研究所, 遺伝子細胞医薬部, 特別研究員(PD)
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Keywords | アデノウイルスベクター / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
本研究の目的は効率が良く安全性の高い遺伝子導入ベクターの開発である。そこで低抗原性であるgutlessアデノウイルスベクター(gutless Adv)に、ベクター遺伝子の安定性を増加させるコンポーネントとしてEBウイルスの潜伏感染装置であるEBNA1およびOriP配列を組み込むことで、アデノウイルス本来の高い遺伝子導入効率を有しながら、低抗原性かつ長期遺伝子発現を可能とするgutlessアデノ/EBハイブリッドベクターの開発を行った。 昨年度はEBNA1およびOriP配列による遺伝子発現の持続効果を第一世代Adv(1st-Adv)を用いて検討を行った。その結果、ヒト培養SK HEP-1細胞においてEBNA1とOriP配列による導入遺伝子の発現持続効果は認められなかった。そこで本年はAdvに対する免疫反応の抑制を目指し、short hairpin RNA発現Adv(shRNA-Adv)によるRNA干渉(RNAi)効果について検討を行った。まず脂肪細胞分化のマスタージーンであるPPARγに対するshRNA-Advを作製し、脂肪前駆細胞の脂肪細胞への分化抑制を指標にRNAi効果を検討した。その結果、PPARγ-shRNA-Advは脂肪前駆細胞3T3-L1細胞の脂肪細胞への分化を顕著に抑制した(Gene,348,157-165,2005)。またshRNAの発現調節可能なshRNA-Advの開発のため、テトラサイクリンオペレーター配列を有した変異型H1プロモーターを作製した。その結果、ドキソサイクリンによりshRNA発現を誘導可能なshRNA-Advの開発に成功した(Hum. Gene Ther.,15,813-819,2004)。この発現誘導型RNAiベクターを用いることによってAdv投与時に惹起される免疫応答を一時的に抑制し、その結果としてAdvによる長期遺伝子発現を可能とすることが期待される。
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Research Products
(2 results)