2003 Fiscal Year Annual Research Report
ナノポーラス金属の創製および空孔クラスタリング機構の解明
Project/Area Number |
02J20074
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
原口 友秀 独立行政法人産業技術総合研究所, 基礎素材研究部門・機能性金属材料研究グループ, 特別研究員(SPD)
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Keywords | ナノポーラス金属 / 空孔クラスタリング / B2型金属間化合物 |
Research Abstract |
1.Ti系水素吸蔵合金のナノポーラス化 大量の過飽和空孔を凍結させるために急冷擬固TiCoリボンおよびTiFeリボンを作製し,急冷凝固まま試料と1173Kで真空焼鈍した試料に対してSEMによる試料表面の組織観察および格子定数測定を行った.結果,熱処理を施した試料の表面には無数のナノポアーが形成された.熱処理とともに格子定数が増加した.このことは熱処理後の空孔量の方が急冷凝固ままのそれに比べて小さいことを意味しており,無数に形成されたナノポアーは過飽和空孔のクラスタリングに起因していることを示唆している.水素吸放出特性を評価するためPCT測定を行ったところ,ポーラス化したリボン材では急冷凝固ままの試料に比べて吸放出速度が2倍ほど上昇していることを明らかにした. 2.B2型FeAl合金における空孔クラスタリングの動力学 (1)示差走査型熱量計(DSC)を用いた研究 急冷凝固FeAlリボンには数%にも達する過飽和空孔が凍結されている.この過飽和凍結空孔を仮想第三元素Vとした場合,ナノポアー等の二次欠陥の成長はVの核生成・成長プロセスとして取り扱えるはずである.そこで,JMA理論をもとに,DSC測定で得られた空孔クラスタリングに起因する発熱反応ピークを詳細に解析した.結果,ナノポアーのような空孔が3次元的に凝集する二次欠陥の形成は反応の極めて初期段階で終了しており,その後はフランクの不動転位や転位の増殖といった欠陥の成長が生じていることが明らかになった.以上の結果は,ナノポアーのような3次元的な空孔の凝集を生じさせるためには,ある一定以上の過飽和空孔を凍結させる必要があることを示唆している. (2)陽電子消滅浩を用いた研究 FeAl合金は規則合金であるため空孔にもFe副格子席上の空孔(Fe空孔)とAl空孔の2種類が存在し,これらはエネルギー的に等価ではない.FeAl合金では,Al空孔は形成されないと一般的に考えられてきた.一方,ナノメーターサイズのポアーの形成を確認しているが,ポアーの形成にはこれら両者が必要である.陽電子消滅法を用いた本研究の結果,過飽和空孔の緩和過程でFe空孔に加えてAl空孔も形成されることを明らかにした.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] T.Haraguchi: "Determination of density and vacancy concentration in rapid solidified FeAl ribbons"Intermetallics. 11. 707 (2003)
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[Publications] T.Haraguchi: "Relaxation Process in Quenched-in Vacancies during Annealing in B2 FeAl Single Crystals"Materials Science Forum. 445-446. 99 (2003)
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[Publications] T.Haraguchi: "Nanoporous Behavior Induced by Excess Vacancy Clustering in Rapidly-Solidified B2 FeAl Ribbons"Defect Properties and Related Phenomena in Intermetallic Alloys, MRS Symp.Proc.. (In print). (2004)
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[Publications] T.Haraguchi: "Nanopore Formation in B2 Iron Aluminide by Vacancy Clustering"Surface Engineering in Materials Science II, TMS. 10 (2003)