2004 Fiscal Year Annual Research Report
新奇な視覚情報の知覚的学習過程と脳内機構の解明及び人間工学的応用のためのモデル化
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02J20084
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
遠藤 信貴 独立行政法人産業技術総合研究所, 人間福祉医工学研究部門, 特別研究員(PD)
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Keywords | 視覚的文脈 / 視覚探索 / 潜在的符号化 / 空間配置 / 相対位置 / 絶対位置 |
Research Abstract |
されているのかを明らかにするための心理物理実験を行った.視覚探索課題において,探索アイテムめ半数を常に固定して反復呈示するOLD条件と全てのアイテムの呈示位置がランダムに変化するNEW条件において,標的の探索時間を計測した.実験は学習セッションとテストセッションに分けられており,テストセッションでは,学習セッシヨンで呈示されたOLD条件の探索画面のうち半数は学習セッションと同様に呈示した(OLD-OLD条件)が,残り半数の画面では固定配置の呈示位置を変化させて呈示した(SHIFT条件).これらの事態において固定配置の呈示位置の変化が標的の探索処理に及ぼす影響を検討した.その結果,次の3点が明らかになった. (1)学習セッションのOLD条件では,固定配置と共にノイズ(半数のアイテムの空間配置の変化)を含むが,そのような事態であっても視覚画面を反復経験することによって,標的の探索処理はNEW条件に比べて有意に早くなった. (2)テストセッションにおいて,SHIFT条件の探索処理はOLD-OLD条件に比べて遅延し,NEW条件との間に反応時間の差は認められなかった. これらの結果は,画面内にノイズを含む事態であっても一部の固定された空間的配置情報は反復経験によって記憶内に保持されるが,固定配置の呈示位置が変化することによって獲得された配置情報は探索処理に利用できないと解釈される.さらに,位置変化による影響が固定配置とノイズの相対的な位置関係に依存するのか,画面内における固定配置の絶対位置に依存するのかについて検討した結果, (3)絶対位置の変化は探索処理の速度に影響しないことが明らかになった. 以上の結果は,反復呈示されることによって獲得される空間的配置情報は,ノイズとの相対位置関係の情報を含んで記憶内に保持されていることを示唆するものであり,人間の視覚情報処理過程において視覚対象間の相対位置関係が重要な役割を果たすという関連研究の知見とも整合するものである.
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Research Products
(1 results)